安室奈美恵のDimension Pointレーベルからの第1弾となるアルバム。攻撃的なトラックから、ピアノとストリングスのみのシンプルなバラードなど、最先端かつ多彩なトラックに対し、"これぞ"という歌唱でそれらをまとめ上げた作品。TBS系日曜劇場『空飛ぶ広報室』主題歌「Contrail」、コーセー『ESPRIQUE』TVCMソング「Big Boys Cry」他を収録。 (C)RS
JMD(2013/06/14)
攻撃的なトラックから、ピアノとストリングスのみのシンプルなバラードなど、世界の今を凝縮。最先端かつ多彩なトラックをまとめ上げたアルバムが、遂に発売。昨年デビュー20周年を迎え、歴代記録も樹立した5大ドームツアーも完走。間髪入れずにリリースする今作は、コンプレクストロやドラムンベースなどの攻撃的なトラックから、ピアノとストリングスのみのシンプルなバラードなど"世界の今"を凝縮した最先端のトラック・メイクとなっており、そしてなお安室奈美恵らしさが揺るがない、多彩かつ一貫性のあるアルバム。TBS系日曜劇場『空飛ぶ広報室』主題歌「Contrail」や、フジテレビ系『めざましテレビ』年間テーマソングの「Can You Feel This Love」、本人出演"コーセーESPRIQUE TVCMソング"として話題となった「Big Boys Cry」など収録。
AVEX
発売・販売元 提供資料(2013/05/22)
〈Queen of Hip-Pop〉として再臨して以降の安室奈美恵は、オリジナル・アルバムは2~3年に1枚というリリース・ペースを守っていたわけだから、この新作『FEEL』がほぼ1年ぶりに到着したというのは相当なハイペースということになる。前作『Uncontrolled』は活動20周年イヤーというアニヴァーサリー感をまるで感じさせない攻めの姿勢を見せつける一枚だったが、本作の感触がその延長線上にあることから推察すれば、彼女のなかでは同じモードをさらに突き詰めたいという意欲が溢れていたのかもしれない。<br />で、そのモードの内実を〈EDMが一般化して以降のポップ・スタイルの追求〉と〈新しいクリエイターの開拓〉という2点に仮定してみれば、いまの安室が提示したいものも明確に見えてくる。後者は特定の作家とセットで語られすぎた過去の反動なのかもしれないが、実際に今回は海外のクリエイターを中心にほぼ初顔合わせの面々が中核を担う。先行シングル"Big Boys Cry"では北欧のDサイン軍団と"Fast Car"以来の再合体を果たしつつ、ヒプノティックな幕開けの"Alive"ではハウス畑のアンソニー・マニスカルコ(リッキー・リーほか)をオーストラリアから起用し、"Hands On Me"や"Poison"ではNYのアダム・カピット(SHINee"Lucifer"の人!)を抜擢。ゼッドと合体した"Heaven"こそトピカルな側面もあるものの、あくまでも楽曲のカッコ良さありきで積極的に世界中から才能を見い出す姿勢は、そのままコンプレクストロからプログレ・ハウス、エレクトロ・ダンスホール、ドラムンベースまでを取り込む強気なダンス志向の増強にも繋がっている。<br />一方、そんなストイックな作風をギアチェンジし、作中にいい感じの起伏を持ち込んでくれるのは、〈めざましテレビ〉の年間テーマに選ばれている"Can You Feel This Love"(SUITE CHIC以来となる山木隆一郎との仕事!)の晴れやかさであり、TVドラマ主題歌として先行配信されたNao'ymt製の"Contrail"の大らかなスケール感だ。ある種の親しみやすさを求められる局面にあっても、それと我流の表現との折り合いを容易につけられるほど、いまの彼女は懐が深いということだが、だからこそ、さらに多様な表現を聴いてみたいという欲も残る。そうでなくても次はまた新しいモードの安室ちゃんが楽しめるのだろうけど。
bounce (C)出嶌孝次
タワーレコード(vol.357(2013年7月25日発行号)掲載)