約6年ぶりの新作フルアルバム。07年にレコーディングが開始され、2012年までかけて、全10曲の新曲が完成した。「夏のトレモロ」はキリンジの堀込高樹との共作。現在のキリンジのリズムセクションである楠均(drums)、千ヶ崎学(bass)は2005年以来、朝日美穂バンドのパーマネントメンバーであり、さらにこの曲では青山陽一(guitar)が加わるという最強のセッションとなった。他には田村玄一(pedal steel)、まつきあゆむ(guitar etc)、たまきあや(violin)、戸田和雅子(cho)などがゲスト参加。プロデュース~エンジニアリングは高橋健太郎。ブラジルのミナス勢~アルゼンチンのネオ・フォルクローレ勢にも通ずるM(1)、ジョニ・ミッチェルのピアノ曲を髣髴とさせるM(2)、変拍子のヒップホップテイストを持つM(3)、ダン・ヒックスに通ずるユーモラスなスウィング感を持つM(4)、年齢とともに加えた深い奥行きが詩、メロディーに漂うタイトル曲などなど、ヴァラエティに富みながら、ソングライティング、歌唱、そして、気心の知れたメンバーとバンドサウンド全てにおいて過去最高の高みに達した傑作。
発売・販売元 提供資料(2013/05/10)
6年ぶりの新作は、気負わず純粋に音楽と向き合って制作したことを思わせる、静かに熱いアルバムだ。変拍子のダウンビートとギターの交差が楽しい"ブラック・キューピー"、堀込高樹(キリンジ)製のシティー・ポップ"夏のトレモロ"といったアップがあるなか、素朴な風合いと透明感のある歌声が心地良いミディアムの表題曲が際立って美しいのが印象的。長い年月をかけて作られる蒸留酒の如く、味わい深い楽曲集だ。
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タワーレコード(vol.357(2013年7月25日発行号)掲載)