ドイツが生んだ革新的トロンボーン奏者マンゲルスドルフの、1964年年6月22日、フライブルグでの公演を収めた未発表作品。マンゲルスドルフと共にフロントに立つのは、ハインツ・ザウワー、グンター・クロンバーグ。このクインテットでは、1963年に『Tension!』を発表。1964年には『Now Jazz Ramwong』をレコーディングし、本公演はその2週間後。勢いに乗ったグループの演奏が繰り広げられます。キャリア初期の1950年代には、レニー・トリスターノ的なクールな演奏を聴かせ、自身もクール・ジャズからの影響を口にしていますが、1958年に"ニューポート・インターナショナル・ユース・バンド"に参加し、アメリカのレジェンズとも共演。強烈な刺激を受けて以来、音楽の独自性を追求し、時代と共に、先陣を切って変化し続けたマンゲルスドルフ。この時代は、テクニックも抜群にクリアなフレージングを矢継早に繰り出し、3管のスリリングかつ、切れ味の鋭い演奏を聴かせます。サウンド的には、ピアノレスで1960年代中頃のウェイン・ショーターや、ジョー・ヘンダーソン辺りと肩を並べ、後に新主流派と呼ばれる新しいムーヴメントの世界も匂わせる高テンションの演奏。本パフォーマンスを聴くと、アメリカのシーンを視野に入れても、1964年において如何にマンゲルスドルフが斬新であったかにも驚かされ、またヨーロッパのジャズ・シーンにおいての影響力の大きさも感じます。中には"Sakura Waltz"という楽曲も。日本のトラッド"さくら"のフレージングを下敷きにしたジャズ。この辺りのセンスも斬新そのものです。もともと、戦前のドイツにおいて、ナチに拘束されたという経歴も持ち、反骨の政治意識も強いアーティスト。この後1970年代には、ペーター・ブロッツマンや、ハン・ベニンクらと共演。グローブ・ユニティ・オーケストラへの参加、またジャコ・パストリアスとの野心作『Triologue』も発表していくマンゲルスドルフですが、1960年代の半ばにして、このサウンド。とても半世紀前の音とは思えない音に驚くとともに、歴史の偉大なる一頁が明らかになるこのリリースに貴重さを感じます。
発売・販売元 提供資料(2013/03/26)