ゴージャスかつチャーミングなツインピアノの世界。
フェランテとタイシャー
「イン・ア・ソウルフル・ムード」(1974)
「やさしく歌って」(1973)
エキサイティングかつロマンティックなピアノ演奏で魅了するふたりのピアニスト、フェランテとタイシャーのオリジナル・アルバムのカップリング。『イン・ア・ソウルフル・ムード』は意外な超絶タッチで始めるも、全体はゆったりと愛らしい音色で整えた「愛のテーマ(バリー・ホワイト曲)」でスタート、さわやかなアレンジの中にエレキのアクセントでグルーヴをかもし出す「エイント・ノー・マウンテン・ハイ・イナフ」、イージー界でもすっかりスタンダードの「マイ・シェリー・アモール」など、70年代前半までの、ソウルのヒット・メロディをとりあげた一枚。「燃えよドラゴン」ぽいオリジナル「ホンコン・ソウル・ブラザー」もかわいらしい。
後半の『やさしく歌って』は、前衛音楽魂も顔を出すアレンジでシンセも導入しての「ツァラトゥストラはかく語りき」、チャーミングに始まり、サビで一気にドラマティックに展開する「やさしく歌って」、ブルージー・ロックでエロい「ラストタンゴ・イン・パリ」、ノスタルジックで静かなオリジナル「ザ・サマー・イズ・カミング」、オリジナルでちょっとミュージカルのクライマックス的ラブテーマ風な「ナイト・サウンズ」など、70年代のポピュラー・ヒットを中心に、華麗なテクニックとキュートなアレンジで魅了する一枚。 (C)馬場敏裕
タワーレコード