〈謎の少女〉Shinobu Onoと〈オバケの友達〉DJ Obakeから成る不思議ユニットの初作。ラップあり、朗読ありと、くるくると表情を変えるShinobuの歌声に、エレクトロニックなサウンドが曲ごとに新しい舞台装置を提供。さまざまなアイデアが散りばめられた物語性豊かなポップ・ワールドを、キュートなヴォーカルが自由奔放に駆け回る。煌く電子音と少女の声で綴られたファンタジー小説みたいなアルバム。
bounce (C)村尾泰郎

2011年8月現在"Her Ghost Friend"と検索してもほとんど情報が引っ掛からない。Shinobu OnoとDJ Obakeによる空想電子ポップユニットとのふれこみ。ライヴもやっておらず、知る人ぞ知るという存在だと思うが、間違いなく今の内からチェックしておいた方が良い。やくしまるえつこ的な感情の起伏を欠いた様な少女性を湛えた女性ヴォーカルと、Serph の登場で、より様々な層までそれと意識せずに耳に届いたであろうメロディックなエレクトロニカ的トラックによるすこぶるポップな歌ものを奏でるユニットだ。中でも耳を引いたのは、友部正人やビッケの名前を引き合いに出せば良いか──トーキングとラップとポエトリーリーディングの中間とでも形容したくなるスタイルの歌唱で、石原裕次郎「夜霧よ今夜もありがとう」を引用する曲で、これは強烈なインパクトがあった。マスタリングはトクマルシューゴを手掛ける岩谷啓士郎、PVは七尾旅人「検索少年」ミュージックビデオコンテストで大賞を受賞した〈最後の手段〉が制作というトピックもあり、早耳リスナーには注目を浴びるだろう。
intoxicate (C)池田敏弘