マデリン・ペルーの7作目となるアルバムで、プロデューサーにはラリー・クラインが参加。全編に漂うアメリカーナな雰囲気が独特で、60 年代のレイ・チャールズのアルバムへのオマージュもあり、カヴァー曲はバディ・ホリー、ランディ・ニューマン、レナード・コーエンなどのユニークな選曲。バックにはヴィンス・メンドーサによる広大な青空を思わせるストリングス・アレンジが広がる。ゆったりと流れてゆく穏かな時間。
intoxicate (C)馬場雅之
タワーレコード(vol.103(2013年4月20日発行号)掲載)
これは出世作『Careless Love』(2004年)をプロデュースしたラリー・クラインとの再会作にして、マデリンのキャリアのなかでも重要な一枚になりそうなもの。リズム&ブルース・シンガーとしてキャリアを築いてきたレイ・チャールズが、カントリー&ウェスタンを歌ったことで話題になった62年の『Modern Sounds In Country &Western Music』を、半世紀経ったいま改めて解釈し直した作品だ。カントリーもソウルもジャズもブルースも、分け隔てなく自由かつ本能的に表現できたのがレイだが、出自は異なれどマデリンもそういう折衷的で本能的な歌手。そんな自身の在り方を再確認しつつ歌う彼女の声から、粋と温かみが滲み出る。気品の感じられる編曲と演奏も素晴らしい。
bounce (C)内本順一
タワーレコード(vol.353(2013年3月25日発行号)掲載)