●1954年、フランスがドイツに贈ったディスク大賞
60余年の歳月を経て忘れ去られた大物指揮者にパウル・ファン・ケンペンがいます。彼は1955年に62歳で亡くなったオランダの指揮者であり、1930年代から第二次世界大戦中にかけて多数の録音を残したポリドール社の看板指揮者でした。彼は大戦中にドイツに留まっていたために戦後は活動を禁じられ、1950年頃に指揮を再開するもその期間は余りに短か過ぎました。彼の音楽は壮大かつ豪快で、特に今回蘇刻の「英雄」はその最高峰と言うべきものであり、1954年に戦勝国フランスが敗戦国ドイツに対して異例にディスク大賞を贈りました。
「英雄」にはフルトヴェングラー、トスカニーニ等々による名演奏が目白押しなのですが、ケンペンの演奏はベルリンフィルを白熱の坩堝と化した様な壮絶なものであり、"恐らくベートーヴェンが聴けば一番満足するのではないか"との感がします。

◎制作者紹介
村岡輝雄
1967年九州大学大学院を終了。日本ビクター(株)研究所・音響情報研究室長、武蔵工業大学・教授、東京大学先端科学技術研究センター・客員研究員を歴任し、現在は日ディジタル信号処理研究に取り組み、非調和周波数解析GHAの研究と実用化を行なった。大学時代から吹奏楽とオーケストラに参加し、業務で修得した録音技術を駆使して200枚のCDを制作して今日に至っている。

発売・販売元 提供資料 （2012/11/27）