NY出身の4人組ロック・バンド、ラ・ラ・ライオットの2年半振り(2013年時)となるアルバム。メンバーが2人脱退し、コア・メンバー4人となった新生ラ・ラ・ライオットによる本作は、プロデューサーにデニス・へリングを迎え、ミシシッピ州のオックスフォードでレコーディング。陽気なミシシッピの気候そのままに、ポップかつダンサブルな快作。 (C)RS
JMD(2012/11/06)
よりポップに! よりダンサブルに! 4ピースになったラ・ラ・ライオット最新作が完成!! 前作『ジ・オーチャード』(2010年)が全米36位を記録するなど、インディーながらスマッシュ・ヒットを記録し、世界的な評価を得て全世界約300箇所でのライヴを行うなど、ワールドワイドで活躍するラ・ラ・ライオット。そんな彼らによる2年半振りとなる新作が完成! メンバーが2人脱退しコア・メンバー4人となった新生ラ・ラ・ライオットによる本作は、プロデューサーにデニス・へリング(モデスト・マウス、エルヴィス・コステロ、ウェーヴス)を迎え、ミシシッピ州のオックスフォードでレコーディング。陽気なミシシッピの気候そのままに、過去最大にポップかつダンサブルな快作に仕上がっている! 2010年7月、アジアン・カンフー・ジェネレーション主催「NANO-MUGEN CIRCUIT 2010」全国ツアーに参加し大ブレイク。その後単独公演(代官山UNIT)やフジロックフェスティバル'11などで来日し、日本のファンを確実に増やし続けている!
発売・販売元 提供資料(2012/10/26)
ギャラをメンバー全員で均等に割るバンドの話はしばしば聞くが、どれほど仲が良くても、鳴らす楽器の音数まで均等に割るというケースはかなり珍しい。そしてラ・ラ・ライオットは結成から6年、2枚のアルバムに渡ってそんなこだわりをきっちり貫いてきた。NY出身の彼らは、ASIANKUNG-FU GENERATIONが主催する〈NANO-MUGEN FES.〉などで来日した際にも、シラキュース大学で結成した当時の雰囲気を思わせる仲の良さと、それゆえのヴァイブを常に醸し出してきたバンドだ。そんなグループだからこそ、今回のニュー・アルバム『Beta Love』では「みずからに課してきた制約をすべて取り払った」と聞いて驚いた。その結果、これまでのチェンバー・ギター・ポップではなく、ストリングスをメンバーに擁する彼らならではの人力エレポップになっている。何があった!?「何て言うか、お決まりのパターンに入ってしまっている気がして、大きな変化が必要だなって思った。〈実際に曲を良くすることが最重要〉って考え方をするようになったんだ。以前はメンバーそれぞれが同じ分量だけ楽器を入れたり、全部の曲でプレイするパートがなければいけないと思っていたんだよね。でも結果として、いろんなものが多すぎるほどどんどん詰め込まれるようになってしまっていたと思う。いまでは〈全部の曲にギターを入れる必要はない〉とか、〈この曲にストリングスは必要ない〉とか、客観的に考えられるようになったよ。例えばプロデューサーと作業をしていて、〈この曲には音が2つしかいらないんじゃないか!?〉とか自然に思えるようになったというか。それは僕らにとってかなり大きな変化だった。やりすぎて、曲を台無しにしてしまうことがなくなったからね。〈全部の楽器をどこにどう使おうか……〉と考えるプレッシャーから開放されたのは大きかったかな」。取材に応えたウェス・マイルズ(ヴォーカル)は、いつものほんわかした口調でそう話す。実は彼、かつてヴァンパイア・ウィークエンドのエズラとアパートをシェアし、ロスタムと2人でディスカヴァリーというユニットをしてきた人(ちなみに2013年2月頭に〈Hostess Club Weekender〉で両バンドとも来日予定だが、ディスカヴァリーで1曲ぐらいやれば、と問うとウェスはただ笑っていた)。とことん優しい性格だからこそ、ヴァンパイアの濃すぎる2人に愛され、メンバーが均等に音を出すという気の遠くなるような技も実現可能にしたのだろう。こだわりすぎずに作ったサウンドが、闇も光も呑み込んだ末に光を放つような独自のエレポップへと変化した理由。さらにもうひとつ加えると、ウェスの脳裏に作家のウィリアム・ギブソンや技術的特異点を唱えるレイ・カーツワイルのことがあったのも大きな影響を及ぼしているんだとか。彼らならではのエレポップ。未来って、素敵なものだね。
bounce (C)妹沢奈美
タワーレコード(vol.351(2012年12月25日発行号)掲載)