ヤーコプスのモーツァルト・オペラ・シリーズ
新刊は、モーツァルト18歳のオペラ「偽の女庭師」!
HMFが誇るルネ・ヤーコプスのモーツァルトのオペラのシリーズ、新刊は「偽の女庭師」です。1775年1月13日にミュンヘンで初演されたオペラブッファで、初演時モーツァルトは19歳目前、1774年というと交響曲第28番の頃ですので、既に神童を脱した立派な作曲家に成長していました。物語は、かつて恋人ヴィオランテに大怪我を負わせて音信不通にしてしまったが今はアルミンダと婚約しているベルフィオーレ伯爵の前に、サンドリーナを騙り庭師として働くヴィオランテが現れ、周囲を巻き込んで騒動になる、といったお話。モーツァルトはかなり力を入れて作曲し、初演も好評だったことが伝えられています。この作品はモーツァルトの生前にドイツ語の上演が広まり、そのためオリジナルのイタリア語オペラブッファは20世紀まで埋もれていました。近年、青年期のモーツァルトの傑作として上演が増えています。
サンドリーナのソフィー・カルトホイザーはベルギー出身のソプラノ。モーツァルト・ソプラノとして活躍しており、2005年に大野和士率いるモネ劇場の来日公演「ドン・ジョヴァンニ」でツェルリーナを歌っていました。ベルフィオーレ伯爵のジェレミー・オヴェンデンは英国のテノール。バロックから古典派の声楽作品で活躍しており、ヤーコプスは既にヘンデル「サウル」で彼を起用しています。アルミンダのアレックス・ペンダとは、ヤーコプスが「イドメネオ」や「ティートの慈悲」などで重用しているアレクサンドラ・ペンダチャンスカのこと。最近、長すぎる名前を短縮するようになったんだそうです。彼女と、これもヤーコプスの声楽作品の常連、ソプラノのスンヘ・イム、そして大ベテランのニコラ・リヴァンクなどなど、キャストは充実しています。
「偽の女庭師」は、復活が遅れた経緯から、最近の映像はいくつかあれど、しっかりした録音があまりありません。ヤーコプスの気合の入ったこの新録音はモーツァルティアン、オペラマニア、どちらからも大歓迎されることでしょう!
キングインターナショナル
発売・販売元 提供資料(2012/08/28)
【版について】
この「偽りの女庭師」は、1775年にミュンヘンで初演(3回上演、うち2度目は短縮版)されたました。その後同じオリジナルのかたちで上演されることはなく、1779年以降、いくつかのカット、レチタティーヴォの語り芝居への変更を施したドイツ語上演が、1780年代後半までひろく行われました。モーツァルトを愛した街、プラハで上演されたのは1796年、モーツァルトの死後のこと。この時に作られた楽譜資料が2つ残されており(Namest、Oels)、このヤーコプス演奏はNamest版に基本的に準拠しています。このNamest版には、ドイツ語の歌詞とオリジナルのイタリア語の歌詞が併記されており、新モーツァルト全集(NMA)がこのオペラを出版した際の土台となっています(ただしNMAのオーケストレーションはNamest版よりもシンプルな、モーツァルトのオリジナルに近いもの)。このNamest版では、オリジナルのオーケストレーションはかなり大がかりなものへと変更されています。特に顕著なのが、アリアの伴奏で、管楽器パートに著しい充実がみられること。このオーケストレーションの変更を誰が手掛けたのかは不明なのですが、ヤーコプスは、モーツァルトのドン・ジョヴァンニやティートがプラハで初演され、この地から世界に広まったことを例にとり、この「偽りの女庭師」もプラハで上演されてから再び上演される機会が増えたことなどを考慮して、プラハにのこされたNamest版に基本的に基づいたと語っています。ただし、Namest版でも見られるいくつかのカットは適宜修復を施していること、さらに、録音時にはセリフや歌詞などにも演奏効果などを考えて小さな変更を加えるなど、様々な資料にあたった上で練りあげられた注目の演奏となっています!
キングインターナショナル
発売・販売元 提供資料(2012/08/28)