珍しい、ヤーレの軽快かつ流麗なタッチ。
ウイットに富むフランス映画界ベテラン職人モッキー監督作の世界。

『AGENT TROUBLE』(1987)
サウンドトラック

音楽 ガブリエル・ヤーレ
監督 ジャン・ピエール・モッキー
主演 カトリーヌ・ドヌーヴ、リシャール・ボーランジェ

コンスタントに作品を発表し、フランス映画界では常に一線で活躍しつつも、日本ではなぜか初監督作『今晩おひま?』以降紹介されていないモッキー監督の87年作。スター2人を据えての、軽妙なミステリー。ヤーレには珍しい、娯楽としてのミステリアスとコミカルさを合わせた楽しいメロディ。そこでも、流麗さはさすがです。そこから10曲。そして、なんとジャジーな混声スキャット(ドゥワー)が聴けまくって楽しい『LES SAISONS DU PLAISIR』(1988)から7曲、コミカルなマーチ調テーマが楽しい『UNE NUIT A L'ASSEMBLEENATIONALE』(1988)から4曲、かわいいスキャットから始まるが哀しく明るい『NOIR COMME LE SOUVENIR』(1995)から5曲。と、いつものタッチとは違うジャンルの依頼に、ヤーレらしさがのぞく興味深い作品群。 (C)馬場敏裕