少年と自転車

日本で語られた「帰って来ない親を施設で待ち続ける子供の話」をもとに生まれた珠玉の感動作

本作は、ダルデンヌ監督が2003年に来日した際に聞いた"赤ちゃんの頃から施設に預けられた少年が、親が迎えに来るのを屋根にのぼって待ち続けていた"という衝撃的な話に着想を得て作られた。親に見捨てられた少年シリルが、初めて信用できる大人であるサマンサに出会うことで、心をひらき、人を信じ成長していく。サマンサもまたシリルに愛情を与えることで自分の内にある母性に気づき、人を守ることの責任と喜びを知っていく。ダルデンヌ監督は、シリルとサマンサの小さな感情の機微を丁寧にすくいあげ、普遍的な珠玉の作品を紡ぎ出した。

第64回カンヌ国際映画祭グランプリ受賞! カンヌでの5作品連続主要賞受賞は史上初の快挙!

映画祭の最高峰であるカンヌ国際映画祭で、2度のパルムドール大賞(『ロゼッタ』『ある子供』)、主演男優賞(『息子のまなざし』)、脚本賞(『ロルナの祈り』)、そして本作でグランプリを獲得し、5作品連続でカンヌ主要賞受賞という史上初の快挙を成し遂げ、世界の名匠としてその地位を不動のものにしたダルデンヌ兄弟。さらに本作は第69回ゴールデングローブ賞外国語映画賞にもノミネートされた。

『ヒア アフター』のセシル・ドゥ・フランスがサマンサ役を好演! シリルを演じた新生トマ・ドレは映画初主演とは思えない演技によりカンヌで「主演男優賞候補」と目され注目を集めた!

サマンサ役にクリント・イーストウッド監督作品『ヒア アフター』などで知られるセシル・ドゥ・フランス。傷ついた少年を大きな愛で包みこむサマンサを、聖女ではなくひとりの女性として自然に演じている。シリルには映画初主演の新星トマ・ドレ。信じられる大人に出会えずに生きてきた少年シリルが少しずつ成長していく姿を鮮烈に演じ、カンヌでは「主演男優賞候補」と目された。またダルデンヌ作品常連のジェレミー・レニエが育児放棄する父親役で登場しているほか、同じく常連のオリヴィエ・グルメが居酒屋の店主役でちらりと顔を見せている。

エンディング曲: ベートーヴェン ピアノ協奏曲「皇帝」(アルフレッド・ブレンデル+ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団)

第64回カンヌ国際映画祭 グランプリ
第69回ゴールデングローブ賞 外国語映画賞ノミネート
第24回ヨーロッパ映画賞 最優秀脚本賞

原題 LE GAMIN AU VELO

2012年3月31日日本公開(ビターズ・エンド配給)
bunkamuraル・シネマ 公開作品