ダブ・ステップ以降のUKソウルの新星として、ボン・イヴェールも前座に起用するなど旋風を巻き起こしているリアンヌ・ラ・ハヴァス。ジュールス・ホランドの番組で一躍注目を浴び、ノンサッチからデビューの運びとなった。確かにフロアでも通用するグルーヴの持ち主ではあるが、あくまでもアコースティック主体、歌とギターを中心に置いたプロダクションが、よりよくその才能を演出している。ハスキーな歌声に魅了されること必至。
intoxicate (C)杉山文宣
タワーレコード(vol.100(2012年10月10日発行号)掲載)
先行EP2作に続くフル・アルバム『Is Your Love Big Enough?』。例えばコリーヌ・ベイリー・レイのような英国産シンガー・ソングライターの系譜に連なる新人と位置づけることもできるが、幕開けの“Don't Wake Me Up”などで聴かせる重層的な歌声や、独特の浮遊感を持つ発声、幻想的なサウンドメイクには新しい何かを感じずにいられない。それはおそらくジェイムズ・ブレイクに端を発する一連のムードとの同時代性であり、そう考えるとボン・イヴェールのツアーに抜擢されたのも納まりの良い逸話だと言える。もちろん、ポスト・ダブステップなるタームで語られる音楽の仄暗い感触とは対極の可憐さやアコースティックなヴァイブは眩しいし、アルバム終盤に収められたライヴ・テイクで魅せるパフォーマンスのしなやかさは、いち歌い手としての強度を物語るのだが。一面的には語れない才媛のデビュー作だ。
bounce (C)池谷昌之
タワーレコード(vol.347(2012年8月25日発行号)掲載)