ザ・ヘヴィーは進化した。特徴的なサンプリングと前面に押し出された荒々しいギター、ベース、ドラム、ウェスト・カントリー(イギリス南西部)の雰囲気をまとった変幻自在のサウンド。ザ・ヘヴィーは間違いなく進化を遂げた。ついに完成した2ndアルバムは、訪れた誰もが楽しめる、騒々しい、そして荒々しいホームパーティのような作品である。アルバムのスタートを切るのは、悪魔に取り憑かれたリトル・リチャードのようなサウンドに、NME誌に"London's answer to the YYYS(ロンドンからヤー・ヤー・ヤーズへの返答)と評されたノイゼッツ(Noisettes)のヴォーカル、Shingae Shoniwaをバッキング・ヴォーカルにフィーチャーしたガレージ・パンク・チューン、「Oh No! Not You Again!」。そこに今作のリード・トラックでもあるブードゥー・ファンク・チューン「How You Like Me Now」が続く。そこから展開される様々なテイストの音楽は間違いなく聴くものを驚かせるだろう。マカロニ・ウェスタン(イタリア製の西部劇:イギリス・アメリカ合衆国・イタリアなどでは、これらの西部劇をスパゲッティ・ウェスタンと呼んでいる)のような雰囲気を放つ「Short Change Hero」。「No Time」は永遠を誓った愛を失うことを歌ったとにかくハードでダーティなトラック。「Long Way From Home」のパンク・ブルース。「Cause For Alarm」のレゲエ/2トーン的サウンド。「What You Want Me To Do」の強烈さは、ジミ・ヘンドリックスすら彷彿とさせる。そしてアルバムの最後を飾る「Stuck」は、彼らの受けた様々な音楽的影響を一つにまとめ、全く新しいタイムレスな楽曲に仕上がっている。今作のミックスとプロデュースは、アークティック・モンキーズ、アデル、カサビアンを手がけたヒット・メーカー、ジム・アビス。そして過去にツアーを共にして以来、親交の深いノイゼッツが3曲に参加している。今作『The House That Dirt Built』は、華々しいデビューとなったアルバム『Great Vengeance & Furious Fire』のリリースから、彼らがさらなる飛躍を遂げたことを証明している。デビュー・アルバムのリリース後、ツアーで世界を回った彼ら。1stアルバムは、よりサンプリングを主体にした作品だったが、新作ではバンド・サウンドにより焦点を当てている。初期のロックンロール作品やリズム&ブルース作品に見られるような、楽しく、恐ろしく、そして美しいサウンドが『The House That Dirt Built』の中に生きているのだ。
発売・販売元 提供資料(2012/08/08)
一部で話題を呼んだデビュー作から2年、新作を携えてヤツらが帰ってきた。リズム&ブルースの要素を巧みに潜ませたグルーヴ感満点の楽曲を耳にすると、本来ロックってこれくらい黒いものなんだよな〜としみじみ。ゲストにノイゼッツのフロントウーマンを、プロデューサーにジム・アビスを迎え……と意外なトピックはあるものの、基本路線はそのまんま。今回のヘヴィもセクシーでダーティーでワイルドで、最高にロックだぜ!
bounce (C)平塚望
タワーレコード(vol.314(2009年09月25日発行号)掲載)