アナログの風合いを感じさせる驚異の高音質リマスタリング
ブレインも参加!シッパース&フィルハーモニア管
チャイコフスキーの第4交響曲
EMIのアーカイヴを掘り起こし、純正のマスターテープ使用による丁寧なリマスタリングと詳細なデータを掲載した資料価値の高いブックレットにより、パッケージを所有する喜び一入と評判の「FIRST HANDS リマスター・シリーズ」。最新作は、シンシナティ響ゆかりの指揮者ふたり、1970年の就任より肺癌で早世するまでのあいだ、音楽監督を務めたトマス・シッパース(1930-1977)と、作曲家としても知られ、1931年から1946年まで楽団の国際的な発展に尽力したユージン・グーセンス(1893-1962)とが振ったロシア・プログラムという内容です。
【トマス・シッパース】
1930年米国ミシガン州カラマズーに生まれたトマス・シッパースは、フィラデルフィアのカーティス音楽院で学んだのち、1948年にフィラデルフィア管主催の指揮者コンクールで第2位を獲得して、同じ年にニューヨークのレモネード・オペラ・カンパニーで本格的な指揮者デビューを飾っています。
1950年に初演直後のメノッティ作のオペラ「領事」を指揮して成功を収めたことをきっかけに、同じカーティス音楽院出身の作曲家メノッティとの交流が始まり、メノッティと共同で創設したイタリアのスポレート音楽祭の音楽監督に任命されることになります。
1951年にニューヨーク・シティ・オペラにデビューしたシッパースは、1953年にMET、1955年にミラノ・スカラ座に相次いでデビュー。1968年にはロイヤル・コヴェントガーデンにもデビューを果たし、この間1963年にバイロイト音楽祭で新演出の「マイスタージンガー」を指揮してもいます。
【シッパース指揮によるチャイコフスキーの第4交響曲】
このようにシッパースはオペラでの手腕に定評がありましたが、同時にまた幅広いオーケストラ・レパートリーを持っていたことでも知られています。なかでもロシアものは得意にしていたようで、ニューヨーク・フィルを指揮したムソルグスキーの「展覧会の絵」、プロコフィエフの「アレクサンドル・ネフスキー」のほか、フランチェスカッティ独奏のチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲など、現状のディスコグラフィからも辿ることが可能です。
このたびFIRST HANDS より復刻されるチャイコフスキーの第4交響曲は、LSOとのコンサートのためにシッパースがロンドンを訪れた際、EMIのウォルター・レッグが準備したフィルハーモニア管とキングズウェイ・ホールでセッションを組んで行ったレコーディングのひとつで、同時にプロコフィエフの交響曲第5 番、ソプラノのアイリーン・ファレルを迎えたオペラ・アリア&歌曲集も収録され、それぞれレーベルは異なりますがすでにCD 化されています。
そのプロコフィエフの交響曲第5番が、当時のフィルハーモニア管の機能美全開、スタイリッシュな仕上がりで、演奏・録音ともにすぐれた内容でしたので、チャイコフスキーの復刻にもおおいに期待が高まるところです。
ちなみに、このチャイコフスキーと、続くグーセンス指揮のスクリャービンとでは、ホルンの首席として名手ブレインが参加しています。
キングインターナショナル
発売・販売元 提供資料(2012/06/11)
【グーセンス&プロ・アルテ管によるプロコフィエフの「古典」】
グーセンスがプロ・アルテ管を指揮したプロコフィエフの「古典」は、オリジナルのアナログ初出時にGramophone 誌のレビューで“演奏・録音両面で特薦に値する”とされていたもので、いま聴いても目の覚めるような鮮明な音質に驚かされます。
プロ・アルテ管弦楽団は、LSO のコントラバス奏者、BBC響の首席コントラバス奏者を歴任したユージン・クラフト(1887-1976)が運営し、自らも団員として参加する有限会社として1955年に設立された英国のオーケストラ。EMIに買収される以前のパイ=ニクサ(Pye-Nixa)レーベルにオーケストラ作品の録音を数多くおこなっています。
初期メンバーには、ヴィオラのセシル・アロノヴィッツ、フルートのリチャード・アドニー、オーボエのピーター・グレーム、クラリネットのジェルヴァーズ・ド・ペイエ、ヴァイオリンのレイモンド・コーエン、ホルンのアラン・シヴィルら名手が在籍していました。なお、プロ・アルテ管弦楽団は、1970年にロンドンでの公演を最後に活動を終了しています。
【データについて】
音源について、チャイコフスキーはセッション時のステレオ・素材テープを、スクリャービンがオリジナルのモノラル・マスター(matrix 2XEA938)、プロコフィエフがオリジナルのステレオ・マスター(matrix MST0006) を使用しており、全曲初CD化、チャイコフスキーとプロコフィエフがステレオ・テイク初登場となります。
このたびもリマスタイング・エンジニアには定評あるイアン・ジョーンズを起用、2011年から2012年にかけてアビー・ロード・スタジオにおいて全曲の編集とマスタリングおよびリマスタリングを施しています。
キングインターナショナル
発売・販売元 提供資料(2012/06/11)