トルコ・ポップスの女王で、我が国でも非常に人気の高いセルタブが、自身の音楽的ルーツでもあるトルコ古典声楽に挑戦した意欲作。セルタブ・エレネルは1964年生まれ。トルコや西洋の古典声楽をしっかりと学んだ彼女でしたが、やがてポップスの道を目指すようになり、まずはセゼン・アクスのバック・コーラスとしてキャリアをスタートさせ、そのアクスの手助けによってレコード・デビューを果たしました。そのデビュー作『サキン・オル』(1992年作)はなんといきなり100万枚のビッグ・ヒットを記録、彼女は一躍トップ・スターに躍り出ました。そして2003年にユーロヴィジョン・ソング・コンテストで優勝、翌年リリースした全編英語曲の世界デビュー盤『ノー・バウンダリーズ』がトルコ国内だけでなく世界中で大きなヒットを記録しました。その後も数枚のアルバムをトルコ国内で発売し、高いセールスを記録してきた彼女の前作は、2010年に発表した『カラフル』(ライス AYR-5183)でした。そして2年ぶりの新作となった本作は、彼女の音楽的ルーツでもあるトルコ古典声楽を取り上げた異色作。ここではトルコ古典声楽の歌手/コンポーザーとして広く知られているミュニール・ヌーレッティン・セルチューク(1899?1981)やゼキ・ミュレン(1931?1996)のレパートリをはじめ、19～20世紀に活躍した著名な作曲家たちによる代表曲を15曲収録。それをウード、ネイ、ケメンチェ、タンブールなどの伝統楽器を交えた豪華なオーケストラの演奏をバックに、ポップスの時とはまるで別人のような華麗な歌い回しでセルタブは優雅に聞かせます。古典声楽特有のコブシまわしなども完璧で、古典歌手としての高い技術を余すところ無く披露しますが、彼女を一介のポップス歌手だと思っていた方などは、きっとビックリされることでしょう。さらに装丁はハード・カヴァーを表紙に使った豪華フルカラー・ブックレット付き。2012年デビュー20周年を迎えたセルタブのこれまでのキャリアの中でも、格別のアルバムであることを示しています。
サンビーニャ

発売・販売元 提供資料 （2012/05/24）

トルコ･ポップスの女王､セルタブが自身の音楽的ルーツでもあるトルコ古典声楽に挑戦した意欲作｡ (C)RS

JMD （2012/05/21）