日本のコンピュータ音楽の草分けの一人である上原和夫。彼のここ20年の集成である「アッサンブラージュ」に続いて、今回はアナログ時代の最も初期の作品をリリース!
70年代初頭にニューヨークに渡り活動していた時期の結実といえるパフォーマンスで、現在でも実験芸術のメッカとして知られるThe KITCHENで演奏された。
拡散、凝集、混沌、回帰という4つの断章が連続しガッチリと構成された作品のように思われるが、電子音の他にも岩を打つ音、インド楽器シャーナイ、そしてなんとジョン・ケージの声をも素材としていて、異端の香りがプンプン!しかも手作業ならではの荒っぽいコラージュが随所に見られる。KITCHENというスペースのオーラや時代の空気も反映された、この作家の原点としての密度を持った秀作!
実は上原氏はコンピュータ時代以降の作品とくらべて、初期のアナログ作品にはあまり「愛」がない。過去の作品に拘泥しないアーティストは珍しくないが、今回はレーベル側が内容の面白さを指摘して作家を口説き、オリジナルの内容のままで出版にこぎつけた。
1972年から73年にかけてニューヨークを拠点に創作、コンサート活動を行った。この時代、N.Y.は実験音楽のまさしく黄金時代であった。その同時代と言える時期に活動を展開出来た事は大変幸運であった。このような状況に出会う事がなければ恐らく今日の作家活動も異なったものになっていただろう。この2年足らずのN.Y.での創作活動の総括的な意味及びメモリアルとして1973年に"EVENT '73"と題するコンサートを開催した。その会場は、まさしく当時、現代芸術・実験芸術の拠点であったマーサー・アートセンター内に存在したライブスポットThe KITCHEN であった。
EVENT '73はライブ・パフォーマンスでありまたアクースマティック作品としても位置づける事ができるが、「このイヴェントはコンサートであることを拒絶する」といったメッセージ、コンセプトを提示して開催した。大変好運な事に、無名のアーチストの「コンサート」に対して音楽評論家のジョン・ロックウェルは、大変好意的な評論記事をニューヨーク・タイムズ紙に[ UEHARA, COMPOSER, GIVES NONCONCERT ]と題して執筆してくれた。この作品は、ライブ・パフォーマンスのために予めスタジオ制作によって作り出されたサウンドと、会場におけるライブ・サウンドのミクスチャーにより構成されている。音素材にはジョン・ケージの声や岩を砕く具体音なども用いている。素材音のデフォルメはバンドパス・フィルターやリング・モジュレーターなどを用いている。電子音の合成には電圧制御方式によるブックラー・シンセサイザーなどを用いた。
Edition OMEGA POINT
発売・販売元 提供資料(2012/05/07)