オービタルとは、それはそれは偉大な功績を残したユニットで……衝撃的な“Chime”でのデビューに始まり、そのサウンド・クォリティーの高さでもってUKテクノの礎を築き上げてきました。15年に及ぶ活動に終止符を打ち（ラスト・ライヴは〈WIRE04〉でした!）、その後の動向が気になる彼らでありましたが、動き出したのは兄ちゃんのほう、フィル・ハートノル。それが、映画やTVCMの音楽などを手掛けるニック・スミスと組んだユニット、このロング・レンジです。世界のクラブ・ヘッズから注目されるであろうこのファースト・アルバムは、メロディアスで幻想的な世界を展開させたドラマティックな仕上がり。ヴォーカルを配した曲も半分ぐらいあって聴きやすいし、何より独特なトリップ感はあの時代（90年代初頭）を通過してる人たちに特有ですな。で、言っちゃいけないんだろうけど、まるでオービタルの新作だよなー。嬉しい気持ちも込めて。
bounce (C)池田 謙司