怪奇映画的美と、ドルリュー、ジャールに通ずるテイストと。

『赤死病の仮面』(1964)
サウンドトラック

音楽 デイヴィッド・リー
監督 ロジャー・コーマン
主演 ヴィンセント・プライス、ジェーン・アッシャー

エドガー・アラン・ポーの怪奇小説の古典を、低予算映画の帝王、ロジャー・コーマンが38歳時に監督。撮影は、当時36歳のニコラス・ローグ。謎の伝染病が広がっていることにも気を止めず、領主プロスペローは、宴の日々を繰り広げていたが、そこに、赤い頭巾を被った男が現れる・・・音楽は、60年代にTVドラマの仕事を主体に作品を残すロンドン出身のデイヴィッド・リー。ホラー色に統一されることなく、重厚なオーケストラで、ドラマティックなメロディ、もちろん怪奇趣味さもたっぷりだが、ニーノ・ロータを思わせる美しい瞬間や、ドルリュー、ジャールを思わせる、クラシックの美しさを基礎としながら、清楚で人間くさいアレンジのサウンドに仕上げたり、とさまざまな味をあわせた、聴き応えあり、かつ、ちゃんと怪奇映画のサントラとしての美もしっかりもっている傑作。 (C)馬場敏裕