BLURのギタリスト、グレアム・コクソンの通算8枚目のソロ・アルバム。ガレージ・パンク・ポップなグレアムらしいテイストはそのままに、ノイ!、クラフトワークからジョイ・ディヴィジョン、モノクローム・セットまで彷彿とさせるヒプノティックなグルーヴ。今までで最も"ダンス"ミュージックに近い作品。 (C)RS
JMD(2012/04/16)
グレアム・コクソン。ブラーではギタリストを務める(務めていた)彼。今回の『A&E』で8枚目のソロ・アルバムとなる。ちょっぴりグロいジャケを身に纏ったアルバムのタイトルは〈救急外来〉を意味するが(ちなみにジャケとタイトルは冗談から生まれたらしい)、どことなく引っ掻くようなギター・サウンドに似合っているような気がしなくもない。全体的にポスト・パンクを彷彿とさせる曲が並び、30年ほど前の〈あの頃〉を思い出させることもあれば(想像なのだが)、2010年代的なアプローチもある。何しろキャッチーだ。プロデューサーのベン・ヒリアーとの仕事もうまくいったようで、主に即興的に録られた曲は、最終的に古い80年代のドイツ製コンソールを用いて仕上げられている。その着地点がまたナイス。彼自身が何か病んでいるかのような作品でもある。ドラムマシーンがビートを奏で続ける“City Hall"、踊れるファースト・シングル“What'll It Take"、ループが毒々しさを運ぶ“Seven Naked Valleys"、激しくてポップな“Running For Your Life"、ゆったりと落ち着きをみせる“Ooh, Yeh Yeh"といった、あっという間の10曲──これはいい。コンパクトでシンプルだ。
bounce (C)栗原聰
タワーレコード(vol.343(2012年4月25日発行号)掲載)