ハドソン・モホークを始めとする多くの優れた才能が集まり、様々なジャンルが交錯するグラスゴーのディープなエレクトロニック・シーン。そんな濃いシーンの中において一際輝く天才クリエイターといえばこのラスティであろう。「Zig-Zag」,「Bad Science」そしてブリストルのジョーカーとのコラボレーションも話題となった「Play Doe/Tempered」など、今やクラシックとして評される12インチ作品を数々リリース。その後ジェイミー・リデルやケリス、ビッグ・ピンク、 ニッキー・ミナージュらのリミックスを手掛けたのがきっかけとなり、Warpからデビュー EP「Sunburst」をリリース。この5曲入りEPで、彼の影響を受けたプログレッシヴ・ロックや、 16ビットのゲーム音楽、グライムやデトロイト・テクノ等を、未来のレイヴ・ミュージックとして表現してみせた。空想的なサウンドが鳴り響くこのデビュー・アルバム『Glass Swards』は2年の制作期間を経て完成。アルバムからの1stシングルとなる「Ultra Thizz」は、鼓膜を破るかように弾けるスネアのサウンドと絡み合うように配置されたブレイクダウンとで構成された衝撃作。予測不能の展開と、あたたかなテクスチャーの波がアルバム全体を包み込み、方向感覚も平衡感覚もなくしてしまうかのような初めての音楽体験をリスナーに与えるだろう。
DIS
発売・販売元 提供資料(2011/09/28)
拡散しているベース・ミュージック・シーンにおいて、先鋭的に突き進んでいるといえるアーティストといえば、ハドソン・モホークやマイク・スロット、ルニースあたりの名が挙げられるが、そこに続くのがこの男。そのハドソンの盟友でもあり、サウンドも近いものがあるラスティだが、80sファンク、エレクトロ、レイヴ、グライムといった影響源から一定の距離を保ち、懐古趣味なしでブツ切りにして繋げてみせるセンスはこの世代ならではか。ギラギラ派手なシンセ・フレーズにグリグリなベースで、でも全体的にはクールな印象だ。シングル・カットされた“UltraThizz"の期待感を煽るイントロに強烈なフックの応酬が被さった瞬間に未来派のレイヴが見えてくる。異形のようであって、実はそうではないのだ。
bounce (C)池田謙司
タワーレコード(vol.336(2011年9月25日発行号)掲載)