巨匠メータ得意のプログラム2本立て。ブラームスの第4番&サン=サーンスの「オルガン付き」
1936年生まれの巨匠ズービン・メータにとって、こだわって録音を重ねてきたプログラムをカップリングしたアルバムは、ブラームスが2006年11月、サン=サーンスが2007年10月に、いずれもイスラエル・フィルを指揮して本拠テルアビブのマン・オーディトリアムでおこなったコンサートの模様をライヴ収録したものです。
■メータが情熱を傾けてきたブラームス
メータは当時30代後半だった1976年にウィーン・フィルとブラームスの第1交響曲をセッション録音したのを皮切りに、1979年から1982年にかけて、当時音楽監督を務めていたニューヨーク・フィルと交響曲全曲をセッション録音、さらに1992年10月にイスラエル・フィルとも一挙に交響曲全曲をセッション録音しています。また、イスラエル・フィルとは、1977年に第2交響曲をライヴ録音、さらに同楽団が創設60周年を迎えた1996年にも、ガラ・コンサートにおける第2交響曲のライヴ・レコーディングをおこなっていました。
heliconレーベルでは、2009年10月のコンサートでイスラエル・フィルを指揮して集中的に取り上げた第1交響曲、第3交響曲、ブッフビンダー独奏によるピアノ協奏曲集、ドイツ・レクィエムがすでにリリースされていることからも、メータがブラームスをレパートリーの柱として長年に亘り力を注いできたことが窺い知れます。
ここでの第4交響曲もまた、キャリアのこうした流れの中に位置づけられるもので、看板の弦楽セクションの威力も存分に、パッサカリアなど表情豊かにたっぷりと聴かせてくれるものと期待されます。
キングインターナショナル
発売・販売元 提供資料(2011/08/05)
■メータ、3種目の「オルガン付き」
メータはサン=サーンスの「オルガン付き」を、これより37年前の1970年に音楽監督時代のロサンジェルス・フィルを指揮してセッション録音したのち、1995年にベルリン・フィルともセッション録音しているので、このイスラエル・フィルとのアルバムは通算3種目にあたり、やはり得意の内容といえそうです。メータは若いころから「惑星」に「シェエラザード」など、ダイナミックで鳴りごたえのするプログラムはお手のもので、悉く抜群のセンスを発揮しては胸のすくような快演で人気を博してきました。
「オルガン付き」などもまさにその代表例ですが、とりわけ重低音のオルガンと亘り合う第2楽章第2部以降の盛り上がりにかけて、十分な手ごたえを与えてくれるのはまず間違いないものとおもわれます。
しかも、過去の録音を通じて隅々まで知り尽くした作品ということもあり、穏やかな部分への目配りもみごとで、たとえば第1楽章第2部ポコ・アダージョ。オルガンの和声上、弦楽器のユニゾンによってしっとりと歌われる旋律主題が馥郁と拡がりゆくひとときは、このたびのイスラエル・フィルの起用が最高の効果を生む場面といえるでしょう。
今でこそパイプ・オルガン備え付けのホールは一般的になりましたが、サン=サーンスの第3交響曲といえば、かつては収録会場の制約という事情だけでなく、むしろ鳴り物入りで由緒ある教会や大聖堂でオルガン・パートを別収録するケースもありと、もっぱらセッション・レコーディングに特化した感のあるレパートリーであったことも思い起こされ、ここでライヴ収録という試みも注目されるところです。
オルガニストについて。アレクサンデル・ゴリンは1955年旧ソビエト生まれ。ゴリンはアゼルバイジャン音楽アカデミーでピアノとオルガンを専攻したのち、1990年まではクラスノヤルスクを中心にロシア国内で活動を展開していましたが、1991年以降イスラエルのテルアビブのルービン音楽アカデミーで教鞭を取るかたわら、イスラエル・フィルとのコンサートでも共演を重ねています。
キングインターナショナル
発売・販売元 提供資料(2011/08/05)