アンダーグラウンドな場からフッと地上に飛び出していく超新星はいつもどこかにいるものだが、タイニー・テンパーを例に挙げるまでもなく、最近のUKではベース音楽を起点にした逸材のメインストリーム進出がおもしろい状況を作り出している。その最新の存在こそ、このペックハム出身のシンガー、ケイティBだ。2008年にジーニアスの"As I"やジンク&マコトの"Fade Away"で脚光を浴びた彼女だが、その2年前ににはベイビー・ケイティ名義でNGの"Tell Me"に参加していたから、21歳にしてキャリアは十分だろう。カウント&シンデンやマグネティック・マンとの合体に前後してメジャー契約を果たした昨年は、ベンガ製のデビュー曲"Katy On A Mission"が全英5位、先駆者のミス・ダイナマイトと組んだ"Lights On"が同4位という連続ヒットを記録。満を持しての初作『On A Mission』では、ジーニアスとジンクを中心とするシーンの要人がファンキーやハウス、ダブステップを下地にしたアーバンな作風を披露している。アクの強い主役の歌も相まって、全体の雰囲気は往年のUKガラージを思わせるキャッチーさ!そのポップな魅力は全英2位という結果でも証明されている。
bounce (C)煌ひろみ
タワーレコード(vol.332(2011年5月25日発行号)掲載)