ポリフォニック・スプリーやスフィアン・スティーヴンスのツアー・メンバーとして活動を開始し、ソロ・キャリアをスタートさせてからの過去2作によって既にUSインディー・ファンから絶大な支持を得ているセイント・ヴィンセント。約2年ぶりとなる3rdアルバムは過去のサウンドを継承しつつもよりポップ方面に舵を切り開放感溢れる作品となった。キュートなダーティー・プロジェクターズといったサウンド聴かせる「クルーエル」等、楽器の有機的なアンサンブルとセイント・ヴィンセントことアニー・クラークの美しい歌声がリスナーに至極を音楽体験を与えること間違い無し!まだまだ勢いの留まることを知らないUSインディー界においても傑出した作品の完成だ。
発売・販売元 提供資料(2011/08/05)
Rolling Stone (p.71) - Ranked #26 in Rolling Stone's '50 Best Albums Of 2011' -- "[S]inger-guitarist keeps the thrilling art punk flowing."
Spin (p.88) - "Her third album is her most mercurial yet, a dense clash of post-punk fuzz and baroque-pop rumination, with esoteric new elements..."
Spin (p.22) - Ranked #34 in Spin's 'The Top 40 Albums Of 2011' -- "Her third solo album is terrifyingly beautiful, with well-manicured art-pop labyrinths betraying serpents beneath the soil."
Uncut (p.31) - Ranked #43 in Uncut's '50 Best Albums Of 2011' -- "[A] playful, baroque and subtly provocative talent."
Record Collector (magazine) (p.102) - 4 stars out of 5 -- "[A] brave, uncompromising and lyrically elliptical record that has more than its fair share of spell-binding moments..."
Rovi
スフィアン・スティーヴンスのツアー・メンバーに選ばれたり、グリズリー・ベアやアーケイド・ファイアの前座を務めたりと、USインディーの奇才から愛されてきたセイント・ヴィンセントことアニー・クラーク。その美貌も相まってメディアの注目度も急上昇しているタイミングで、満を持しての3作目がリリースされた。幾重にも重ねられたカラフルなキーボードや、ストリングスが織り成す虹色の〈ウォール・オブ・サウンド〉がますます輝きを増すなか、不思議なフレーズを弾くギターをはじめ、アヴァンギャルドなポップセンスも冴え渡っている。そして、やはり素晴らしいのが美しい歌声で、多彩なコーラス・アレンジも魅力的だ。ブルックリン的な過激さをファンタスティックな音の魔法で包み込んだ極上品。
bounce (C)村尾泰郎
タワーレコード(vol.338(2011年11月25日発行号)掲載)
St.Vincentことアニー・クラークは、現在のアメリカのインディロックが誇る才媛である。タック&パティのタックの姪っ子として生まれ、長じてはニューヨークでグレン・ブランカの周辺にいたこともある。その後スフィアン・スティーブンスのバンドメンバーとして来日もしている。ファッショナブルなルックスとノイジーなギター、華麗なメロディとアレンジ、諧謔に満ちた歌詞。そのサウンドは、さながらポストパンク期のニューヨークの音楽にどっぷりと浸ったケイト・ブッシュとでもいった趣で、目下デヴィッド・バーンとコラボ作品を制作中との噂も頷ける。デビュー作『Marry Me』、前作『Actor』と比べるなら、本作はギターとシンセを前面に打ち出しよりソリッドに仕上がった印象。エッジーさとメロウネスがほどよく同居し、複雑に入り組んだ空間のなかを歪んだギターが官能性を帯びて立ち上がる。ちょっとした感触のうちにぞくりとするような毒と艶を宿したアーティなポップロックは、意外にも肉感的という言葉がよく似合う。
intoxicate (C)若林恵
タワーレコード(vol.94(2011年10月10日発行号)掲載)