オリジナルの魅力をそのままにエッセンスを凝縮
達人集団コンソルティウム・クラシクム、サリエリのオペラのハルモニームジーク集
ORFEOの看板アーティスト、クラリネットの名手クレッカーが率いる精鋭管楽アンサンブル“コンソルティウム・クラシクム”の新アルバムに、サリエリ作のオペラ編曲のハルモニームジークが登場します。
■ハルモニームジークとは
ハルモニームジーク(独語:Harmoniemusik)とは、広くは管楽器のための音楽を指しますが、より限定的な意味では、18世紀中頃から1830年代にかけてのある時期のみ、ヨーロッパの貴族が抱えていた管楽合奏団(ハルモニー)および、そのための音楽を指す言葉として通用していました。ハルモニーの編成は、2本一対の管楽器、通常ホルンあるいはクラリネットから、モーツァルトの「グラン・パルティータ」で要求されているような13の楽器(12の管とコントラバス)にまで、多岐に亘っています。
■ハルモニームジーク隆盛のきっかけ
18世紀初めに遡る“管楽合奏団を雇用する”という伝統に画期的な変化がもたらされるのが1782年。この年に、皇帝やウィーンの貴族の何人かのもとで完全編成のハルモニーが結成されます。これらはオーボエとクラリネットを含む8人編成で、第1級の職業音楽家たちをメンバーにしている点でこれまでとはまったく異なるものでした。
■あらたなレパートリーの創出
こうして、モーツァルトの K 375 と K 388/384a のセレナードのように、ハルモニー本来のための格段にすぐれた作品が書かれるいっぽうで、モーツァルトがオペラ「後宮からの誘拐」のハルモニー編曲も自ら行っているように、オペラやバレエ全曲アレンジが、ハルモニーのためのまったくあらたなレパートリーとして数多く生み出されることになります。
■名ハルモニー・アレンジャー、ヴェントの功績
一般的に、編曲はそれを演奏するハルモニーの楽長が手掛けていましたが、先駆けとして活躍するのがヨハン・ネーポムク・ヴェント(1745-1801)。オーボエの名手として新設された皇帝の宮廷ハルモニーに在籍するかたわら、皇帝のハルモニーのために、モーツァルトの「フィガロの結婚」「ドン・ジョヴァンニ」「皇帝ティートの慈悲」「魔笛」を含む数多くの編曲を行っています。
キングインターナショナル
発売・販売元 提供資料(2011/06/07)
■サリエリのオペラのハルモニー編曲
モーツァルトと同時代に生きたサリエリは、ミロシュ・フォアマン監督の映画「アマデウス」のヒットなども後押しして、モーツァルトの敵役としての虚像がいっそう定着してしまった感もありますが、実際には、イタリア・オペラ楽派の流れを汲むすぐれた作曲家であり、多くの音楽家を指導して後世にも影響を与えています。ひとくちに言って、サリエリのオペラ作品をピリッと引き立たせているのは名人芸とゆたかな感性、そしてコミカルな特質。サリエリ最大の成功を収めた「タラール」からの完全改作である「オルムスの王アクスル」をはじめ、ここでのハルモニー用編曲による演奏のなかにもそうした要素がちょうどそのまま息づいていることに気付かれるでしょう。
■クレッカー率いる名人集団コンソルティウム・クラシクム
コンソルティウム・クラシクムは、クラリネットの名手クレッカーが1960年代の初めに立ち上げたドイツきっての室内アンサンブル。その活動がいわゆる定番のレパートリーを磨きあげるにとどまらず、埋もれた傑作を再発見してあらたに生命を吹き込んできたことは、豊富なディスコグラフィを通じてよく知られるところです。サリエリを取り上げた内容も極上の仕上がりで、エステルハージ財団提供の楽譜を使用し、オーボエ、クラリネット、ホルン、ファゴット各々一対にコントラバスを加えた、エステルハージ侯の有名な宮廷楽団のスタイルで当時の模様を忠実に再現しています。
キングインターナショナル
発売・販売元 提供資料(2011/06/07)