悲劇のロカビリー歌手、バディ・ホリーの75歳の誕生日を記念(2011年時)して企画されたトリビュート・アルバム。新旧の多彩な大物・人気アーティストたちが、おなじみのバディ・ホリーのヒット曲、代表曲をそれぞれ愛情たっぷりに、独自の解釈でカヴァーしている。 (C)RS
JMD(2011/06/13)
米ローリング・ストーン誌“偉大な世界のミュージシャン50人”にも選出、ロックやポップスの歴史に多大な影響を与えた今は亡き悲劇のロカビリー歌手、バディ・ホリーの75歳の誕生日を記念して企画されたトリビュート・アルバム。ポール・マッカートニーをはじめ、ニック・ロウ、パティ・スミス、ルー・リード、グラハム・ナッシュなどのベテラン・アーティストから、フィオナ・アップル&ジョン・ブライオン、フローレンス・アンド・ザ・マシーン、シーロー・グリーン、カレン・エルソン、ジュリアン・カサブランカス、ジャスティン・タウンズ・アール、マイ・モーニング・ジャケット、モデスト・マウス、キッド・ロックなど、新旧の豪華アーティストが多数参加。
ユニバーサル
発売・販売元 提供資料(2011/06/07)
50sロックンロール・オリジネイターたちのなかでも、後世への影響力ではバディ・ホリーが図抜けているだろう。本人が作曲して歌うというシンガー・ソングライター作法と、ミニマムな編成でみずからが演奏するバンド・サウンド。え、そんなのビートルズ以降ではあたりまえだって? そりゃそうさ、なにせビートルズはホリーのスタイルを見習って結成したんだから。飛行機事故によって22歳の若さで夭折したホリーだが、わずか3年も満たない活動期間に多くの名曲を残している。この『Rave On Buddy Holly』は新旧の豪華なアーティストが参加した、彼の生誕75年を記念してのトリビュート・アルバムだ。ホリーの版権をすべて買収したほどの熱狂的な信者であるポール・マッカートニーは、"It's So Easy"を超へヴィー・ロッキンに披露。ルー・リードによる"Peggy Sue"は、ルー節全開のノイジー&ルーズなサウンドで面目躍如。パティ・スミスの"Words Of Love"は、ペースをグッとスロウにして独特の浮遊感を出している。若手勢では、原曲の哀切さを見事に再現したマイ・モーニング・ジャケットの"True Love Ways"や、猥雑な仕上がりが魅力のジュリアン・カサブランカス(ストロークス)による"Rave On"が出色。また、シー&ヒム、ジェニーO、カレン・エルソンなどのポップな解釈を聴くと、常にジェントリーな趣のあるホリーの楽曲は、意外なほど女性ヴォーカルとの相性が良いことにも気付かされる。参加者の誰もが心底楽しんで歌い、演奏していることが伝わってくる、胸躍るような好企画盤だ。
bounce (C)北爪啓之
タワーレコード(vol.334(2011年7月25日発行号)掲載)