『The Flower + The Radio』以来、4年ぶりとなるスタジオ・アルバム。全28曲、75分。ごく短いスケッチのような無駄のない簡潔さがありながら、精緻に作り込まれてもいる楽曲が連なり、作曲と即興、ポップとアンビエント、ビートとノンビート、といった一見対照的な要素が絶妙なバランスで溶け合っている。ここにはCANの傑作『スーン・オーヴァー・ババルーマ』を彷彿とさせるような美しい浮遊感があるが、そこはかとないユーモアと哀愁の漂う本作の方がずっと人懐こく感じられもする。紡がれていく一音一音はあくまで明晰ながら、いつしかあらゆる境界がファジーになっていく白昼夢のような感覚もカブサッキならでは。フェルナンド・サマレア、サンチャゴ・ヴァスケス、アレハンドロ・フラノフ、マリア・エヴァ・アルビストゥール、ムッサ・フェルプス他、多数のゲスト・ミュージシャンが参加。ウィリアム・S・ハート主演のサイレント西部劇の名作『曠原の志士』(1925) の音声が効果的に引用されている。
発売・販売元 提供資料(2011/05/16)
<アルゼンチン音響派>の存在を世に知らしめた鬼才ギタリストが、実に4年ぶりとなる新作を発表した。さまざまなギター音や声、電子音がアブストラクトながらも極めて有機的に絡み合った淡き音世界は、相変わらず独創的。全28曲がフィルムの断片を繋ぎ合わせるように連なりながら、白日夢のより深い地点へと聴く者を静かに引きずり込んでいく。アレハンドロ・フラノフやサンチャゴ・ヴァスケスなど同志も参加。
bounce (C)田中幹也
タワーレコード(vol.333(2011年6月25日発行号)掲載)