伝説のカルト監督、エリプランド・ヴィスコンティの危険なエロティック・ムービー・サントラのカップリング!

『ODIEPUS ORCA』(1977)
音楽　ジェームズ・ダショー
主演　レナ・ニーハウス、ガブリエレ・フェルゼッティ

日本公開作品では『ロザリオの悲しみ』の隠微な美しさが紹介されつつも、真の代表作は日本未公開のままのカルト監督エリプランド・ヴィスコンティ。その知る人ぞ知る傑作3本。『ORCA』シリーズは、主演女優レナ・ニーハウスのオーラも凄い。まず1枚目の『ODIEPUS ORCA』は、監禁され、逃れた際に犯人の男を射殺してしまった少女が、後の生活で脅かされる心理ホラー。実験音楽作家ジェームズ・ダショウがほとんどを自身のシンセで作り上げているサントラは、フランシス・レイ&ゴベールの甘くエロティックなサウンドを思い起こさせ、時にサックスをフィーチャーして、メロディアスなフリージャズの表情も見せる。そして、微妙な音圧の高さが、このサントラのオーラをさらに高みに上げている。さて、この作品は、このCDの20曲目以降に4曲収録されている『LA ORCA』(監禁され、逃れるまでを描く)の続編にあたる。『LA ORCA』の音楽はニューエイジ・シンセ奏者デル・ファーロとしても知られるフェデリコ・モンティ・アルドゥイニ。2枚目の『UNA SPIRALE DI NEBBIA』(主演マルク・ポレル、クロード・ジェイド)は、猟の最中に妻をライフルで射殺してしまった夫の背後に、さまざまな疑惑が持ち上がるミステリー。音楽はイヴァン・ヴァンドール。『情無用のジャンゴ』『悲しみは星影と共に』のCD化が待たれるが、全体的にも、CD化は少ないコンポーザー。悲しくも美しいテーマが、映画のインモラル度をさらに際立たせる。 (C)馬場敏裕