前作のアルバム「二階堂和美のアルバム」リリース以降、より地域共同体から生まれる「生活」「日常」の歌に重きを置きながら、激情的な一面、叙情的な一面、フリーキーで破天荒な一面や優しさと慈愛にあふれる一面など、様々な二階堂和美を展開し各地で魅了してきました。 そして2011年。5年ぶりにリリースされる本作はまさに奇跡の1枚。彼女の溢れ出る思いといままでの経験や各地で魅了してきたその魅力が集約された作品。ゲストミュージシャンにCinema dub Monksの曽我大穂と西垣敦の二人、Rastic pansなど多くのバンド、ミュージシャンサポートで活躍中の山村誠一と土居秀行、赤犬のまるむし、二階堂の地元広島の盟友黒瀬みどりという個性豊かな実力派とともに作り上げた本当に大切な1枚。どこか演歌的でありながら、モダンな音楽。歌謡的でありながらワビサビを押さえたアレンジ。これぞ日本音楽の良心。
P-VINE
発売・販売元 提供資料(2011/05/17)
キュートかつしとやかなヴォーカルをエキセントリックに迸らせる稀代の歌い手による、5年ぶりのフル・アルバム。生活のなかに浮かぶ感情の機微を、ネコや蝉や月といった目に映るささやかなモノたちに心情を託した歌詞のリリシズムが相変わらず素敵だ。戦前の流行り歌のような古色蒼然とした曲調ながら、<ケータイ><メール>という単語が横溢する“説教節”、トロピカルなサンバに乗せて別離を歌う“お別れの詩”、恋する気持ちがリズミカルなオノマトペとなって炸裂したポップス“あなたと歩くの”など、叙情的なピアノ弾き語りナンバーの間に放り込まれるひと癖ある楽曲たちが、全体に色彩感のある抑揚を与えている。<滲み>でもあるが<虹見>と解釈しても良い、淡い日常の先に溢れた希望を感じられる名作。
bounce (C)北爪啓之
タワーレコード(vol.333(2011年6月25日発行号)掲載)