UKを代表するモンスター・バンドへと成長を遂げた、アークティック・モンキーズが約2年振りとなる4作目のアルバムをリリース!前作に続き、相性抜群のジェイムス・フォード(シミアン・モバイル・ディスコ)をプロデューサーに迎え、ロサンゼルスの伝統的なスタジオ=サウンド・シティ・スタジオ(ニルヴァーナ、マイケル・ジャクソン、レッド・ホット・チリ・ペッパーズ等が過去にレコーディング)にて行われた。リリースの度にサウンドを進化させ、世界中を驚嘆させるアークティック・モンキーズが本作でふたたびロック史を塗り替える!
発売・販売元 提供資料(2011/06/17)
Spin (p.100) - "[T]hey've hit a remarkable mid-career groove that most band their age will never see....The constant throughout remains frontman Alex Turner's smart mouth."
CMJ - "On its fourth LP, Arctic Monkeys combines its clever, tongue-in-cheek wordplay with a wider variety of sounds than it ever used on its other releases."
Paste (magazine) - "For the first time, the band has produced an album in which Turner's lyrics are truly given room to breathe....Turner brings the same smart turns of phrase he's always contributed to the band's catalog, only this time around we're allowed a closer listen."
Record Collector (magazine) (p.86) - 4 stars out of 5 -- "[T]his is a record that screams confidence, sunshine and mostly remains fun throughout. Drummers take vocal duties, throwaway but incisive lyrics abound, and everything sounds easy."
Clash (Magazine) - "The apparent immediacy is there in the track lengths, and the frantic relentlessness with which they bash them out, thought it's Alex Turner's endearing melodies that stand out most."
Rovi
しゃかりきなまでに正確無比、リズム・言葉・ギターとそれぞれの機能を特化し、研ぎ澄ました彼らの音楽からは、年齢に反して達観している・・・・・・との印象を抱いてきた。<しゃかりき>こそ若さの表れ!とも言えるが、ロックの定石とされるいきり立つ契機≒苛立ち、反抗、青春の懊悩といった私的で青臭く、ベタついた情動は当てはめにくい世代のバンドだ。歌詞にしても、比喩や言葉の選び方など感性の鋭さは買うが、常に観察者、悪く言えば窃視者の視点から描かれたその世界において、歌い手の存在感は実に薄い。ハートより頭が先に作動する賢い技巧派。感心させられても、感動はしない。その意味で、この4作目『Suck It And See』は新鮮だ。歌のフロウを重視し、メジャー・コードに寄った曲作り、リヴァーブの微光を放つ流線型のギター、コーラスが映える広い音空間。持ち前のリフの妙とロールするビートで聴かせる曲も健在ながら、本作の大半を占める米国的なサーフ・ロックと英国の泣き(ニュー・オーダーやモリッシーの王道アンセムが浮かぶ)が完璧に融合した楽曲群は、ライターをかざしての合唱が相応しい。そうした安易な快感を許さず、緻密な音作りと曲がりくねった歌詞で、聴き手に挑むように突き進んできたこれまでの3枚。いつまでそんな調子で続けるの?と感じてもいたので、頭ではなく、ロジックで説明できないハートの欲求に従ったかの如き本作の無防備であけすけな美は、大歓迎である。
bounce (C)坂本麻里子
タワーレコード(vol.332(2011年5月25日発行号)掲載)
デビュー当初、<10代の代弁者>として熱狂的な支持を集めたアークティック・モンキーズが、その後どのように<大人のバンド>へと成熟していくのか。前作『Humbug』(2009年)から模索を始めていた、その問いに対する理想的な回答がここにはある。このニュー・アルバム『Suck It And See』を特徴付けているのは、レコーディングが行われたLAの夕暮れ時を思わせるような、ロマンティックで黄昏れたムード。初期作品の大半を占めていた若さの象徴である性急なビートは影を潜め、ゆったりと落ち着いたテンポの楽曲が並んでいる。また、アレックス・ターナーのヴォーカルも前作以上に大人びていて、深みと陰影を感じさせるようになった。そして何より大きな変化は、50年代のポップ・ミュージックを下敷きとした、甘いコード進行の流れるようなギター・ストロークが多用されていること。それによって、従来の彼らが得意としていたギター・リフ主体の曲と比べると、柔和でレイドバックした印象が強まったと言えるだろう。最初にも少し触れたように、成熟した<新しいアークティック像>をめざしたという意味で、『Humbug』と変わりはない。だが、ストーナー・ロックの大物・ジョシュ・オムをプロデューサーに迎え、ヘヴィーでサイケデリックな路線に突き進んだ前作は、あまりの急展開でファンを置き去りにしてしまっていた。その点、今回の新作はよりスマートに新しいことをやり遂げ、無理のない自然な形での成熟に成功している。
bounce (C)小林祥晴
タワーレコード(vol.332(2011年5月25日発行号)掲載)