前作『SWEET JARDIN』で注目された等身大のブラジリアン・フォーキー女性SSWチエ。内向的な世界観とサンパウロが培った天賦のリリシズムが、サウンドに奥ゆかしさをもたらした絶品セカンド・アルバム。前作のやや内向的な世界観を加速させつつ、センシティヴなポップ・サウンドを体得した進化の1枚。冒頭「Na Varanda Da Liz」を聴けば彼女の才能を改めて確信。インディー・ポップ的なソングライティングに、チェロなどクラシカルな楽器を加えた絶妙のアレンジが、成熟を感じさせるチエの歌声を引き立たせる。フラメンコをモチーフに、どこか批評的な精神も覗かせる「Voce Nao Vale Nada」、現代ブラジルを代表する若手SSW、トゥーリパとカーが参加した「Pra Alegrar o meu Dia」ではバンジョーが入ったカントリー風に続き、チェロを入れて英語にて歌われる「For You And For Me」も心地良い適度な温もり。様々な音楽の要素が渾然としているようで、さらっとした感触で聴けるのは、大都会サンパウロで生まれ育ったチエの持つ飾らない天賦の才ゆえであろう。そしてウルグアイ出身いまや世界で活躍するSSW、ホルヘ・ドレクスレルがゲスト参加した「Perto e Distante」。類まれなる表現力の持ち主という点で共通する2人の邂逅は、2010年代の南米音楽シーンを予見するかのような感動的な瞬間である。
発売・販売元 提供資料(2011/04/26)
ブラジルにも欧米的なセンスを持ったシンガー・ソングライターはもちろんいるわけで、サンパウロ在住のチエーはその代表格。麗らかなメロディーに、ややカントリー風味の薫る洒落たローファイ・サウンド、文系っぽいアンニュイな歌声……これで歌詞がポルトガル語じゃなければ、ブラジルの人だとは気付くまい。<ブラジル音楽>の固定観念を取っ払って聴いてほしい、世界標準のインディー・ポップ作品だ。
bounce (C)田中幹也
タワーレコード(vol.335(2011年8月25日発行号)掲載)