杉谷昭子 演奏活動40周年記念CD Vol.2!
21歳のシューベルトが作曲した歌曲の旋律主題とする変奏曲が、第4楽章におかれているピアノ5重奏曲は、翌年作曲されたもの。
ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス各1の弦楽4重奏をベルリンから招聘して、杉谷昭子女史のピアノを中心に展開される5重奏は、澄明感と劇的表現が見事にバランスしての名演奏。原作リートの詩のシノプシスが見事に反映して、面白い演奏だ。
5楽章の構成も見事なら、ピアノと弦楽4重奏の息もよく合っていて気持ちがよい。37年に及ぶ滞独生活が背景にあってのアンサンブルの相互理解の深さが一聴してわかる。
弦楽による主題提示のあと、Var.1でピアノが主旋律を両手オクターヴで弾くが、この美しさは無類のもの。
杉谷女史の豊かな音楽性と、目ざましい集中力が発揮されて、短い主題を弾くだけでも、非常な満足感を与えてもらえる。彼女が今時稀有の存在であることが鮮やかにあらわれている。混迷した時代の迷走する日本に帰国して、演奏活動と教育的活動を展開しようという彼女には、氷のような冷ややかさを良しとする現代っ子たちに、正確さに加えてたっぷりと暖か味が表せる、ムジツィーレンする心を与えてやってもらいたい。[諸井 誠(音楽評論家)ライナーノーツより]
ユニバーサル ミュージック

発売・販売元 提供資料 （2011/04/05）

杉谷昭子(ピアノ)演奏活動40周年(2011年時)記念CD Vol.2。37年に及ぶ滞独生活が背景にある、アンサンブルの相互理解の深さが一聴してわかる作品。 (C)RS

JMD （2011/04/18）