フォーマット |
SACDハイブリッド |
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構成数 |
2 |
国内/輸入 |
輸入 |
パッケージ仕様 |
- |
発売日 |
2011年05月20日 |
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規格品番 |
RCO10004 |
レーベル |
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SKU |
5425008377018 |
DSD5.0/マルチチャンネルステレオ
ヤンソンス&コンセルトヘボウ管によるマーラーの第3番
ヤンソンス&RCOによるマーラー・シリーズの第5弾は交響曲第3番。2009/10年より2シーズンに跨り、ヤンソンスのほか8人の指揮者がRCOを振り分ける交響曲全曲演奏会シリーズに取り組んでいた最中にあって、2009年12月収録の第2交響曲(RCO10102)に続き、2010年2月の本拠地コンセルトヘボウにおけるコンサートの模様を収めたものです。
ヤンソンスは、マーラー生誕150周年の2010年に音楽出版社ウニフェルザール・エディツィオーンがおこなったインタビューのなかで、マーラーとの出会い、そして交響曲第3番について次のように述べています。
「わたしが初めてマーラーを聴いたとき、若い時分、あれはまだ音楽院の学生の頃だったかな、たいへん感銘を受けたし、まるで天にも昇る気分だったよ。マーラーが天才で、偉大な作曲家であるとわかったし、マーラーは最初からすぐさま、わたしに“ぼくの作曲家なんだ”という感覚をもたらしたんだ。(中略)そういうわけで、たちまちこんなにも大きな愛着を抱いたし、決してなくなることはなかった。100パーセント確かとはいえないけれど、わたしが最初に聴いたマーラーの交響曲は、第3番だったとおもう。そう、いまわたしが指揮をしている第3番をね。」(c)Universal Edition
来日公演に臨むにあたり行われた記者会見でも、ヤンソンスは次のように述べていました。
「RCOとマーラーとの関係は皆さんもよくご存じのことと思います。ウィレム・メンゲルベルクとマーラーが特別な信頼関係にあったことから、RCOにとってマーラーは特別な存在となりました。マーラー自身も、ウィーンよりも多くコンセルトヘボウで自作の指揮をしています。
今回日本ツアーに携えてきた交響曲第3番は、大作ばかりのマーラーの交響曲の中でも“もっとも偉大な作品”と言うことができるでしょう。第3番では、大きな質問が提示されています。それは世界中の人類すべてに問われる大きな質問です。まったくの無から始まった世界における神との対話、人生そのものに対する問いかけがこの作品の中にはあるのです。そういった意味でも、この作品はあらゆる人々に訴えかける力があると思っています」
「指揮者にとって、複雑で大きな意味を持つマーラーの作品を演奏すること自体が大きなイベントです。RCOとマーラーとの関係を考えると、それはよりいっそう大きなものになります。
RCOとマーラーを演奏すると“あぁ、彼らの音楽なんだ”とすごく感じるのです。彼らの血の中、身体の中にマーラーがいる。ここまで言えば、今回の公演が特別なものであることがお分かりいただけるでしょう。」
以上、2010/11/16 16:24 (c)CDJournal.com より引用・(c)株式会社音楽出版社
キングインターナショナル
こうしたなかで、このたびリリースされる手兵RCOとの第3番は、なんといってもやはり、かれらのホームグラウンドであり、シューボックス型ホールの筆頭格とされる「コンセルトヘボウ」で収録されていることがあらゆる面でプラスに働いているようにおもわれます。
ウィーンのムジークフェラインザールと双璧をなす、このホールが織り成す響きは、今日に至る名門RCOと絶妙になじみ、マーラー屈指の長大で奥深い内容に対して、刻一刻と驚くほどゆたかな表情をみせてゆきます。ほんとに夢見るように最高の気分ということでは、きっとヤンソンスもまた、RCOとの実演を通して「天にも昇るような気持ち」を呼び起されたにちがいありません。
マーラーの伝統を受け継ぐオーケストラとして名高いRCOだけに、マーラーの交響曲第3番のアルバムもこれまでに歴代の首席指揮者たち、それぞれハイティンクの全集とシャイーの全集におけるセッション録音のほか、ベイヌム、ハイティンクとのライヴ録音などが発表されており、それぞれにみごとなものがありましたが、この作品への愛着一入ということでは現首席指揮者ヤンソンスによるあらたなアルバムの仕上がりにもおおきく期待が膨らみます。
キングインターナショナル
構成数 | 2枚
合計収録時間 | 01:39:00
マーラー:交響曲 第3番 ニ短調
(1893-96, 1906年改訂/カール・ハインツ・フュッスル校訂版)
Disc1[34'19"]
=第1部=
第1楽章:力強く決然と(34'19")
Disc2[64'22"]
=第2部=
第2楽章:テンポ・ディ・メヌエット きわめて穏やかに(9'54")
第3楽章:コモド、スケルツァンド 急がずに(17'37")
第4楽章:きわめてゆるやかに、神秘的に 一貫してppp(ピアニッシシモ)で(9'01")
第5楽章:活発な速度で、表出は大胆に(4'20")
第6楽章:ゆるやかに、平静に、感情をこめて(22'57")
【演奏】
ベルナルダ・フィンク(Ms)
オランダ放送合唱団女声合唱(合唱指揮:セルソ・アントゥネス)
ブレダ・サクラメント合唱団少年合唱
ラインモンド少年合唱団
マリス・ヤンソンス(指揮)
ロイヤル・コンセルトへボウ管弦楽団
【録音】
2010年2月3,4,5日 アムステルダム,コンセルトへボウ(ライヴ)
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1.[SACDハイブリッド]
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1.Symphony No. 3 in D minor: Erste Abteilung. Kraftig, Entschieden
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2.[SACDハイブリッド]
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1.Symphony No. 3 in D minor: Zweite Abteilung. Tempo di Menuetto. Sehr massig
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2.Symphony No. 3 in D minor: Zweite Abteilung. Comodo. Scherzando. Ohne Hast
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3.Symphony No. 3 in D minor: Zweite Abteilung. Sehr Langsam. Misterioso. 'Mensch Gib Acht!'
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4.Symphony No. 3 in D minor: Zweite Abteilung. Lustig im Tempo und keck im Ausdruck: 'Es sungen drei E
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5.Symphony No. 3 in D minor: Zweite Abteilung. Langsam. Ruhevoll. Empfunden
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6.[Applause]
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2010年秋のヤンソンス&RCOの来日公演。筆者はミューザ川崎でマラ3に接したが、ともかく圧倒的であった。ヤンソンスはテンポや表情付けに独自の個性を発揮するケースが多いが(前々回の来日でそれが顕著だったのがドヴォ8、いじりまくり)、ここでは、至極真っ当に直球勝負に出ていた。で、今回のCDを聴き、改めて、これ以上に音楽的で美しい、技術的にも完璧、あらゆる意味で模範的な演奏は考えられないのではないか、と感じたのだった。ただし、この曲はマーラーのあらゆる作品中でも最も分裂的で〈とっちらかって〉おり、それを綺麗にバランスよくまとめ上げることに対し、その指揮者としての手腕はものすごいものがあれど〈マラ3〉としてどうか? との意見はあるかも知れない。でも念を押しておくが、本当に凄いよ、これ。現代オーケストラの究極の演奏である。オケ好きなら聴かなきゃ始まらない、とすら思う。ちなみに、恐らく出るであろうラトル&BPOのマラ3は、超分裂的な演奏らしい、余談だが。
intoxicate (C)藤原聡タワーレコード (vol.92(2011年6月20日発行号)掲載)