ペトルチアーニ、スティーヴ・ガッド、アンソニー・ジャクソンのトリオで奏でられた名演が印象的な名曲(1)。慎ましく、大切に紡がれるメロディ、アドリブにセルジュ・デラートの深い愛情を感じます。前作から続くジョージ・ムラーツ入りトリオで絶妙なアンサンブル、スウィングをみずみずしく聴かせます。
タワーレコード(2011/04/26)
虹色にはじける朝露のダンス。つややかを増す新緑の美しさ。スウィングに込められた喜びが全身を駆け抜け、伸びやかな気持ちは青空の彼方へ…。明るい。とにかく清らかでみずみずしくエレガント。草木の芽吹きを感じられるこの時期、まるでその成長を促してくれるよう。なんのてらいも気負いもない、素直なピアノ。敬愛するミシェル・ペトルチアーニの、音楽を楽しもうという積極的な姿勢をセルジュ・デラートは確かに受け継いでいる。澤野工房からのリリースは早7作目。ドラムはずっと一緒にやってきたジャン・マルク・ラジュディ。ベースは前作から引き続きジョージ・ムラーツ。絶妙なアンサンブルで独特のスイング感を獲得している。以前より取り上げていたペトルチアーニ曲や、バッハを取り入れた試みを含む全12曲。バッハの練習曲インベンションからエリントン・ナンバーへと、和音を分解した淡々と流れるアルペジオに符点がついてジャズになっていくTr.11。Tr.3もバッハ。拍子が変わっても難なくジャズに引き込むその手腕・ユニークさは新鮮で楽しい。ジョージ・ムラーツ作曲のTr.4は半音が上手い。というかニクい。日本人好みのする黒鍵の使い方。オリジナルのTr.2のフレーズは印象的で、フッとテンポを落とした2小節の3連符が耳を惹く。爽やかな風のようにサラリと聴こえるものの、凝ったことをしているから繰り返し聴きたくなる。ピアノのタッチが柔らかく朴訥で、好感が持てる。あたたかな陽光をたっぷり受けて優しく照り返す、川の水面のようにきらきらしたピアノトリオ。聴いてると、素直な気持ちになれる。Text by 恒田 純子(ライナーノーツより)
澤野工房
発売・販売元 提供資料(2011/04/06)