ショパン・イヤーの真打ち登場。今のルイサダだからこそ表現できるバラードの深い陰影。
■フランスのロマン派ピアニスト、ショパンの権化、ルイサダの新録音
ジャン=マルク・ルイサダは、コルトー、フランソワ、ハイドシェックなどに脈々と流れ続ける、フランスのロマンティック・ピアニズムの伝統を継承する数少ない個性派ピアニストの一人。音楽から湧き上がるファンタジーをまるで即興であるかのように変幻自在に具現化していく様は、一度そのとりこになると、楽譜の表面を綺麗になぞっているだけのありきたりのピアニストでは全く物足りなくなってしまうほどの魅力を放っています。千変万化する絶美の音色、大胆なテンポ・ルバート、思いもがけない和声や声部の強調など、ルイサダの創意は尽きることがありません。パリ随一のコンサートホールであるシャンゼリゼ劇場を満杯に出来る数少ないピアニストとして、フランスでは絶大な人気を誇り、また日本でも1984年の初来日以来定期的に来演、数多くのファンを獲得しています。2006年から生誕200年の「ショパン・イヤー」2010年まで5年連続で毎年来日公演が行なわれており、2010年7月には、いよいよ満を持してショパンのバラードを取り上げ、今作はその機会をとらえて録音しました。
■ショパンといえばルイサダ
1985年のショパン・コンクール入賞以来、ショパンの名と分かちがたくなったルイサダ。演奏会でのレパートリーにもショパン作品を数多く取り上げ続けているかたわら、録音面でも、ドイツ・グラモフォンへのデビュー盤となった「ワルツ全曲」(1990年録音)、「マズルカ全曲」(1990年&1991年録音)を皮切りに、1998年にはピアノ協奏曲第1番の室内楽版、翌1999年には、ショパンとサンドを巡る女優マーシャ・メリルとのコラボレーション「聖なる炎」から生み出された名曲集「革命のエチュード~プレイズ・ショパン」などの名盤を残してきています(「ワルツ全曲」と「マズルカ全曲」は吉田秀和氏絶賛)。また2005年にNHKで放映された「スーパーピアノレッスン」ではショパンの作品を取り上げ、深い造詣ぶりを日本の音楽ファンに強く印象付けています。
■ルイサダにとって生涯初の「バラード全曲」演奏+録音
2010年のショパン生誕100年を見据え、50代をむかえたそのルイサダがひさびさにショパン作品に回帰し、2007年集中的に演奏と録音に取り組んでいる「ショパン・シリーズ」。その第3弾となる当アルバムは、ルイサダが全曲を取り上げるのは今回が初めてとなるバラード集。「バラードはいわばロード・ムービーのようなもの」と位置付けるルイサダですが、彼にとってはベートーヴェンの後期のソナタに匹敵する深い内容を持つ、まさに特別な存在。50歳を超えて円熟の極みにある今のルイサダだからこそ読み取れる、感情の起伏の激しさ、ノスタルジーや絶望感、それに苦い諦観さえにじませる演奏はまさに絶品の一言です。
ソニー・ミュージック
発売・販売元 提供資料(2011/03/07)
■万全のスタッフによるDSDレコーディング
「日本でこそ、最高のホールとピアノとを使って集中的な録音ができる」というルイサダ本人の強い希望で、岐阜のサラマンカホールで録音。プロデュースは長年ルイサダのレコーディングに携わってきた元BMGクラシックスのプロデューサーで、パーヴォ・ヤルヴィ、仲道郁代、ピンカス・ズッカーマンなどの録音を手がけているフィリップ・トラウゴット、バランス・エンジニアには、佐渡裕や鈴木秀美など、数多くの日本人アーティストの録音を手がける櫻井卓氏を起用。
ソニー・ミュージック
発売・販売元 提供資料(2011/03/07)