これまでも10年以上ステージで共演してきたクラシックのコンポーザー、ロベルト・シエラと、ジャズの巨匠ジェームス・カーターによるスリリングなコラボレート作品。シエラがカーターのために作り、2002年にデトロイトでプレミア披露された「サックスとオーケストラのためのコンチェルト」をはじめ、シエラの新曲「Caribbean Rhapsody」ではジェームスのいとこでもあるレジーナ・カーターをヴァイオリンに、さらにストリング・クァルテットをフィーチャーした豪華な仕上がり。ほかにもテナー・サックス、ソプラノ・サックスによるカーターのソロ2曲を収録。「僕の心を打ったのはCarterが楽器を本当に自分のものにしていて演奏しているということ。彼はサックスにおけるパガニーニ。彼と楽器は一心同体なんだ。一目見たときからそれが僕にとっては驚きだったよ。」とコーネル大学で作曲を教えるシエラ。本作はワルシャワにてジャンカルロ・ゲレロ指揮によるシンフォニア・ヴァルソヴィア・オーケストラと一緒に録音したものをメインに、ニューヨークでアクア・ディクソンのカルテットと一緒に録音した「Caribbean Rhapsody」も収録しておりマイケル・クスクーナがプロデュースを手掛けた。クラシックからジャズ、ブルース、トラッドまでの流れを汲んだ全体的に質の高い心地良い音楽を展開。
発売・販売元 提供資料(2011/06/13)
JCにはいつも面食らわされる。一体自分の〈キャリア〉をどう考えているのか。ジャズ界屈指のスタープレイヤーであることに異論はあるはずもなかろうが、そのディスコグラフィーを見てアーティストとしての一貫したヴィジョンやコンセプトを見い出すのは困難だ。新作は『カリビアン・ラプソディ』という。藪から棒。一貫性なんか探すだけ無駄。これほど予測のつかないヤツはいない。ざっくり言って本作はクラシックとジャズの融合ということになる。プエルトリコ出身、リゲティの弟子だった作曲家ロベルト・シエラが、JCのために書き下ろしたコンチェルトと小編成の弦楽アンサンブルによる表題曲。そこにソプラノとテナーを抱えて、われらがJCがぶらりと現れるという構図。ついでに2曲分のソロも吹きまっせ。にしてもこの泰然自若ぶり。JCときたら、まるで自分が作曲者か指揮者かのようだ。魔法のようにオケに入り込み、操り、煽る。サックスの音色は曲の精(スピリット)そのものと化し歌い踊る。コンセプトなんて言葉をあざ笑いながら高く高く舞い上がる。地上に残されたぼくらときたら、その音の乱舞をぽかんと口を開けたまま飽かずに見上げ続けるほかないのだ。
intoxicate (C)若林恵
タワーレコード(vol.92(2011年6月20日発行号)掲載)