寡作の鬼才監督の注目の長編の、ポスト・デビッド・リンチ的世界。
『イエスタデイ・ワズ・ア・ライ』(2009)
サウンドトラック
音楽 クリストファー・カーター
歌 チェイス・マスターソン
監督 ジェームズ・カーウィン
主演 キプリー・ブラウン、チェイス・マスターソン、ジョン・ニュートン
知的な美女の主人公が巻き込まれるナチが発見していた秘密をめぐる事件。そして、彼女自身の存在理由までが崩れてくる。スパイ・アクション的なプロットを難解なアート・フィルムの体裁でモノクロで見せるユニークなSFノワール。監督は、鬼才として注目されながら、この作品が初長編のジェームズ・カーウィン。カーウィンは、さらにこの素材を発展させてテレビ・シリーズを始めている。そのタイミングでの、おそらく今回のサントラ・リリースでしょう。ただならぬ雰囲気と妖しいジャズ・テイストの融合といえば、デビッド・リンチを思い出させるが、サントラも、その感じ。ストリングスとシンセによるストイックな音数で異様な空気を美しく描写するスコアは、アニメ版のスーパーマン・リメイク仕事で活躍していたクリストファー・カーター。そして、劇中でラウンジで歌うシンガー役のチェイス・マスターソンが歌うジャジーなナンバーを2曲、チェイスがサイモン・シャピロと歌うデカダンでモダンなナンバー1曲。確かに、リンチ的世界好きにお薦めのドライでエロティックなムード。 (C)馬場敏裕
タワーレコード