ミニマル・シーンに留まらずクラブミュージック全般において、もはや別格といえる存在へと昇り詰めたカリスマ、RICARDO VILLALOBOS。そのVILLALOBOSが、歴史的ファースト・アルバム「ALCACHOFA」に続いて世に送り出した問題作がこの「THE AUHAREM D' ARCHIMEDE」。ジャーマン・ミニマルの草分けである名門PERLONからのリリースとなった本作は、前作で見せた流動的でアブストラクトな音響がさらに研ぎ澄まされ、シンプルなようで極めて精緻なビート・プログラミングと一体化した、例えようのない独特の空気感を漂わせる逸品。妖しげなアコースティック・ギターのアルペジオがリスナーにこれから始まる悪夢を予感させる冒頭の"Hireklon"、呪術的なホーンやパーカッション、微細なエレクトエロニクスが幾重にも折り重なったマイクロスコピック・ミニマル"Theoreme D'Archimede"、そしてPANORAMA BARでレジデントも務める才女・CASSYの官能的なヴォーカルをフィーチャーしたグルーヴィーなミニマル・ハウス"True To Myself"など、実験的なトラックとフロアライクなトラックが絶妙に混ざり合ったVILLALOBOSの真骨頂が存分に味わえる。モダン・ミニマルの基本とも言えるマスターピース、待望の再発。
発売・販売元 提供資料(2010/10/13)
ハーバート、アクフェンに続くクリック・ハウス・スター、ヒカルド・ヴィラロボスが独特のアートワークでお馴染みのペルロンから新作をリリース! ヴィラロボス名義でプレイハウスからリリースしたデビュー作『Alcachofa』も“Easy Lee”などの殺人チューンを生んだ傑作だったりしたが……イヤ、今作はそれを軽く越える衝撃的な内容! 変則ビートから徐々に4つ打ちキックが浮上、あげくギターの爪弾きまで乱入してくる冒頭の“Hireklon”、曲後半に不穏な女声が侵入する“Miami”、たぶん本人と思われるカマっ気たっぷりな鼻歌が絡む“True To Myself”、〈深海での不法アフロ集会〉的な“Theoreme D'Archimede”、キックの音が鳥肌モンな“Temenarc 1”など濃密チューンの洪水! やはりこの人のリズム構成力は現在最強かも? 最近はリッチー・ホウティンと活動を共にすることも多いヒカルド、今後のクリック・ハウスはお前に任せた!
bounce (C)石田 靖博
タワーレコード(2004年12月号掲載 (P68))
永遠に終わらない悪夢の中に迷い込んだよう。崇高なアルバム。