夫であるラリー・グレナディエ、そしてカート・ローゼンウィンケル、ブライアン・ブレイドをバックに吹き込まんだ前作『The Growing Season(邦題:実りゆく季節)』が好評を博したシンガー・ソングライター、レベッカ・マーティンの2010年作。多くのシンガーによって歌い継がれて来たジャズのスタンダード曲を取り上げた本作。バックは前作よりも更にシンプルに、ラリー・グレナディエのベースとビル・マクヘンリーのサックスという編成。シンガー・ソングライターの視点から、それぞれの楽曲の最初のヴォーカル録音に遡りメロディー、ハーモニー、詞の検証を重ね、出来る限り作曲者、作詞者の意図したものに忠実に解釈、それぞれの楽曲に新鮮な息を吹き込んでいます。これまでのレベッカのファンはもとより、ジャズ・ヴォーカルの愛好者の新たなコレクションとして、更にはジャズ・スタンダード曲のヴォーカル作品を聴いてみたい方への入門編としても格好の作品となっています。日本盤ボーナス・トラック収録。
ビデオアーツ
発売・販売元 提供資料(2010/08/25)
かつてジェシー・ハリスとのユニット、ワンス・ブルーでも脚光を浴びたフォーキー&ジャジーな才媛の新作は、小編成による野心的なUSスタンダード集。深みのあるヴォーカルのほかは、夫であるラリー・グレナディアのベースとビル・マクヘンリーのサックスのみ。音と音の隙間からそっと静寂が語りかけてくるような、ワビサビの極致とも言える内容だ。蝋燭の灯りだけでじっくり味わいたい。
bounce (C)田中幹也
タワーレコード(vol.326(2010年10月25日発行号)掲載)
ノラ・ジョーンズの大ヒット以降注目を集め出したジャンル越境派シンガーの中でも、キュートさを売りにしない渋めの表現者として独特の立ち位置を保っているのが、このRebecca Martinだ。今回のテーマはずばりスタンダード曲。…と、ここで彼女は退路を断つ。伴奏者を二人にまで削ぎ落とし、泣く子も黙る名曲群に対し正面から丸腰で向き合う。地味? いや、肝は滋味だ。声があり、それを導くベースと寄り添うサックスがあるだけで当然空間も多い。しかしその空間も含め味わいは深い。
intoxicate (C)青山秀一郎
タワーレコード(vol.88(2010年10月10日発行号)掲載)