【ディスク紹介コメント】
『交響曲第1番ヘ短調、第15番イ長調』
過酷な時代に生きざるを得なかった大作曲家の交響曲の始まりと終わりはいかなるものだったのか? インバルならではのスコアの読みで、イデオロギーや虚飾を排した音楽そのものが伝わってくる。「レコード芸術」推薦。
『交響曲第4番ハ短調』
完成から実に25年もの間発表されなかった問題作。長大な両端楽章、紆余曲折に富んだ構造、巨大な編成……ショスタコーヴィチの創作意欲が結実した初期の秀作、その価値を存分に知らしめた傑作ディスク。「レコード芸術」推薦。
『交響曲第5番「革命」、交響曲第2番「十月革命に捧げる」』
20世紀に生まれた交響曲の最高傑作のひとつ交響曲第5番は、ソヴィエト当局による「プラウダ批判」に対するショスタコーヴィチの見事で大胆な回答です。インバル2度目のこの録音は、荒涼とした表現が時に身も凍るような感情を聴き手に呼び起こし、インバルの表現の深化を実感させます。深い内面世界を描く第3楽章の真摯な表現が聴きもの。合唱を伴う交響曲第2番はシュプレヒコールやサイレンの音が10月革命を称えます。「レコード芸術」準特選。
『交響曲第6番、第12番「1917年」』
2006年に生誕100年となるショスタコーヴィチの問題作である2つの交響曲。インバルのアプローチは、あくまでもスコアから音楽を読み込み、第6番における深刻と陽気の対照の意図、体制に迎合すると言われた第12番が、時代を経ていかなる説得力を持ちうるのか、真価を問う演奏。「レコード芸術」準推薦。
『交響曲第7番 ハ長調「レニングラード」』
大戦中に書かれ人気を博した大作。勝利を鼓舞する迎合的作品か否かという論点を離れ、インバルはより根源・普遍的な世界を描く。「ポスト・マーラー」を強く意識させる演奏。「レコード芸術」推薦。
『交響曲第8番 ハ短調』
熱烈に歓迎された第7番と違い、より深い内面性をもった大作交響曲。ウィーン響の織り成す響きはまさにこの曲の本質を捉えて感銘深い。現代人必聴の入魂の演奏。「レコード芸術」準推薦。
コロムビアミュージックエンタテインメント
発売・販売元 提供資料(2010/08/19)
(ディスク紹介コメント 続き)
『交響曲第9番、交響曲第3番「メーデー」』
ソヴィエト当局の糾弾を受けた問題作、交響曲第9番。「勝利の交響曲」の期待へのショスタコーヴィチの回答は、モーツァルト《音楽の冗談》にも劣らぬ痛烈な風刺を伴う「小さな」交響曲でした。インバル得意のアイロニーに満ちた表現にウィーン響が見事に応えます。終末に混声合唱を伴う単一楽章の交響曲第3番は、実験的要素を大きく含み、政治的作品と紙一重の内容。インバルの棒が冴えわたります。
『交響曲第10番 ホ短調』
透徹した視線、そして強い緊張感をもってこの音楽の根幹をなす時代の苦悩や悲哀が描かれる。世界的人気を呼んだ大作交響曲の真の価値・意味を洗い出す渾身の演奏。「レコード芸術」準推薦。
『交響曲第11番「1905年」』
《1905年》という表題のこの交響曲が描くのは、その年、栄華を極めたロマノフ王朝に請願しようと宮殿に向って行進する民衆に軍隊が発砲した「血の日曜日事件」。その翌年に生まれ、革命の時代に育ったショスタコーヴィチは、曲中に多くの革命歌を引用して、この大量虐殺がロシア革命への引き金になっていった歴史を生々しく語る交響曲を残しました。インバルが専制政治への警鐘を鋭く描きます。「レコード芸術」準特選。
『交響曲第13番「バビ・ヤール」』
第2次大戦時のユダヤ人弾圧の象徴の地バビ・ヤールをタイトルとし、同時代の詩人エフトゥシェンコの詩を元に作られた声楽付きの交響曲。鎮魂詩が第1楽章で、続く楽章では強圧的な体制へ痛烈な皮肉を込めた歌詞が続く。インバルの指揮は強い共感に満ちている。「レコード芸術」特選。
『交響曲第14番「死者の歌」』
ショスタコーヴィチ晩年の傑作、第14番は、マーラーの「大地の歌」のように2人の歌手によって歌われるオーケストラ伴奏付きの歌曲集の体裁による交響曲。「死」をテーマにしたアポリネールやロルカら4人の作家の詩を取り上げ、深い感動を与えてくれる。「レコード芸術」準推薦。
コロムビアミュージックエンタテインメント
発売・販売元 提供資料(2010/08/19)
【プロフィール】
Eliahu Inbal(エリアフ・インバル)/ 指揮者
1936年2月16日、イスラエルのイェルサレムに生まれる。同市の音楽アカデミーでヴァイオリンと作曲を学んだ後、パリのコンセール・ヴァトワールに留学。メシアンの他、フェラーラやチェリビダッケに指揮法を師事し、1963年のグィド・カンテッリ指揮者コンクールに優勝。以後バーンスタインの推薦を受け、ヨーロッパをはじめ、世界中の主要なオーケストラを指揮してきた。1974~90年、フランクフルト放送交響楽団の首席指揮者。1984~87年、ヴェネチア・フェニーチェ劇場の首席指揮者。2001~6年、ベルリン交響楽団(旧東ベルリン)の首席指揮者。2007年~、フェニーチェ劇場音楽監督。イタリア放送(RAI)交響楽団名誉指揮者。わが国では1995~2000年、東京都交響楽団の特別客演指揮者を務め、2008年4月よりデプリーストの後任として同楽団のプリンシパル・コンダクターに就任。インバルはこれまでにPhilips、TELDEC、DENONに数多くの録音を行なってきた。デンオン・レーベルには、フランクフルト放送交響楽団とのマーラー交響曲全集、ベルリオーズ作品集、シューマン交響曲全集、ブラームス交響曲全集などを。フランス国立管弦楽団とのラヴェル作品集。ウィーン交響楽団とはショスタコーヴィチ交響曲全集など。スイス・ロマンド管弦楽団とはR.シュトラウス作品集などを精力的に録音し、世界各国で受賞するなど高い評価を獲得している。
コロムビアミュージックエンタテインメント
発売・販売元 提供資料(2010/08/19)
インバルが打ち立てたマーラー全集と並ぶ巨大なモニュメント!
全世界にインバルの名を知らしめたのマーラーに始まって、ラヴェル、ベルリオーズへ、短期間にある作曲家の作品を集中的に録音・発表することによってその全体像を明らかにするというインバルのアプローチとそれを実現させる力量は、そしてこのウィーン交響楽団とのショスタコーヴィチ全集に至って、一段と大きな成果を生みました。全体主義政権下における芸術家の苦悩、そしてその作品の本質への理解を後世に託したショスタコーヴィチの心の声が、全15曲を俯瞰することによって、より深く感得されることでしょう。
コロムビアミュージックエンタテインメント
発売・販売元 提供資料(2010/08/17)