影響力はニーヨと同等!? リアーナ“Umbrella”やマライア“Touch My Body”などなど、手掛けたヒットは数知れず!名プロデューサーにしてシンガー=ザ・ドリームの3作目は、先行シングル“Love King”をはじめ、今回も彼独特の甘くも湿った感触、でも絶妙にメロディアスなR&B世界を聴かせてくれます。才能あふれてる~!
タワーレコード(2010/06/29)
トリッキー・スチュワートとのコンビでもお馴染みのヒットメイカー/R&Bアーティスト、The-Dreamのサード・アルバム。2009年3月にリリースされたセカンド・アルバム『Love vs. Money』に続く作品で、2009年12月にリリース予定されていたが、The-Dreamが多忙な為に延期されていたもの。真意かどうかは不明だが、The-Dreamは今作が最後のスタジオ・アルバムとなる予定で、3作品の中で最も優れたものだという。
発売・販売元 提供資料(2010/05/31)
Rolling Stone (p.111) - 3 stars out of 5 -- "[A] plush, pleasure-packed album on which the Atlanta singer-songwriter plays the hyperconfident Lothario..."
Spin - 4 stars out of 5 -- "As bawdy, referential, and effortless-sounding as ever, Terius 'The-Dream' Nash takes his long-playing love affair to the next level on this third solo effort..."
Entertainment Weekly (p.75) - "The slow-thumping '80s-R&B vibe suggests Prince is still a huge influence..." -- Grade: B
Uncut (p.94) - 3 stars out of 5 -- "[H]is music an often be magnificent: an aural pavlova of sugar-spun synths and ambrosial harmonies."
Billboard (p.28) - "[T]he 12-track set contains several of the-Dream's finest numbers yet....[With] 'Yamaha,' a spirited piece of Prince worship clearly inspired by 'Little Red Corvette.'"
Pitchfork (Website) - "If you've been charmed by The-Dream's strengths -- Tin Pan Alley song concepts and an unceasing sense of musical craft -- then you'll be immensely satisfied with the music here."
Rovi
ビヨンセ”Single Ladies (Put A Ring On It)”やジャスティン・ビーバーの”Baby”をはじめ、相棒トリッキー・スチュワートと組んで相変わらずビッグ・ヒットを量産しているプロデューサー/シンガー・ソングライター、ドリームのサード・アルバム『Love King』。自身のレーベルを立ち上げ、アイランド・デフ・ジャムの副社長に就任し、クリスティーナ・ミリアンをモノにする(ものの、先日離婚を発表したばかり……)などの成功を収めてきた彼も、<アーティストとしての作品はこれで最後>と公言!?R・ケリーをも脅かす才能と特異な変態性を併せ持ち、自曲でもヒットを残してきただけに残念な告白ではあるのだが……どうやら今後は裏方に撤していきたいようだ。
前2作から連なる3部作の最終章だという今作でも、甘く繊細なファルセット・ヴォイスにねっとりとしたエロさが絡みつき、妖艶にまどろむ催眠的なドリーム・ワールドを構築している。<世界中のどこにだって俺の女がいる>とのたまうピンピンな美曲”Love King”や、重低音の鳴りがヤバすぎるメロウ・バウンスにT.I.を招いた”Make Up Bag”、ゆらめく浮遊ミッド”F.I.L.A.”、プリンス”I Would Die 4 U”ばりにファンシーな80s風のアップ”Yamaha”、感傷的なバラード”Turnt Out”、甘酸っぱさ広がる軽快なナンバー”Florida University”など、耳を惹くポップさとアヴァンギャルドなダーク感の同居はやはり唯一無二。これがドリ-ムの本性ってことなんだろう。この特異な感性が今後どのような形で発揮されていくのかに期待したい。
bounce (C)池田貴洋
タワーレコード(vol.323(2010年7月25日発行号)掲載)
実にマクロな視点とミクロな視点の両方を兼ね備えた人なのだな、と改めて感心させられた。<ラヴ3部作>の最終章となる『Love King』。そのようにミュージカルばりの壮大な構想だけでも恐れ入るのだが、続けざまにポンポン実現してしまったうえ、アルバムの前半はほぼノンストップというお得意技で攻め上げる。まるでこれを聴きながらメイク・ラヴに励んでください、とでも言わんばかりにエロオラ・モード全開で、R・ケリーの変態エロオヤジぶりや、プリンスの異次元王子ぶりを彷彿とさせる楽曲群に浸っていると、彼がほとんどひとりで築こうとしている<ラヴ王国>が見えてくる。あっという間に妊娠→結婚→出産していたクリスティーナ・ミリアンとの<ラヴ>の後ろでは、いつもこのアルバムが流れていたんでしょうかね。
全体が流氷のようにスムースに進行する一方、同時に一曲ごとがしっかりと独立していて、どれでもシングル化できそうなポテンシャルを備えているのはヒットメイカーの彼ならでは、というか彼なら当然か。ぎりぎりバラードになりそでならないミッドテンポの曲調が多いとはいうものの、しっかり聴き込めば、よくこれだけ思いつくよなという閃きや手口があちこちに挿み込まれていて、天才的かつ繊細な感性に恐れ入る。あとはセクシー系のルックスさえあれば文句なしと言いたいところだが、そうはいかなかったのがご愛嬌。とはいえ、そんな彼だから憎めないというのもあるのだが。
bounce (C)村上ひさし
タワーレコード(vol.323(2010年7月25日発行号)掲載)