自らのレーベル"Buffalo Ranch"を設立。今作は、『物理』がテーマ。『物理』という絶対的なパワーに対する、アート宣言、破壊宣言。これぞ21世紀型、世界の最前線を行く音楽/Rock!サウンド面においても、海外ツアーなどで鍛え抜かれた確かなバンドアンサンブル(ゲスト・ドラムは、松下敦、“The Battle Field In My Head”のゲスト・ヴォーカルにハトリ・ミホ)と、トータルなサウンドプロダクション(ミックスは、ZAKと松田直、マスタリングはHowie Weinberg(Masterdisk/NY))により完成されたウェポンの数々は完全世界照準。
発売・販売元 提供資料(2010/05/20)
ビートはスクエアで反復していてひんやりとしているのに、メロディーは円を描くように丸みがあってウォーミング。それが交差することで音はかなりリアルに立体化していて、まるで三次関数における曲面グラフのような音の仕組みになっている。それはまるで、表情と抑揚が薄れて平板になりつつある現代人に向けてのちょっとしたアイロニーであり、ロウな2000年代から次なる時代に向けての水先案内人でもあるようだ。実際、このBuffalo Daughterによる4年ぶりのニュー・アルバムにはポジティヴな空気を呼び寄せ、ジリジりと聴き手の五感を刺激していくような躍動と活気のマグマがある。数学的な物理がテーマとなっているようだが、そういう意味ではすごく衝撃的本能に基づいた一枚。大傑作だ。
bounce (C)岡村詩野
タワーレコード(vol.322(2010年6月25日発行号)掲載)