強烈なサスペンス! 劇伴に徹して冷静に描写するスモール・サウンドの醍醐味、ついに音盤化!!
『マラソンマン』(1976)
サウンドトラック
音楽 マイケル・スモール
監督 ジョン・シュレシンジャー
主演 ダスティン・ホフマン、ローレンス・オリビエ、ロイ・シャイダー、マルト・ケラー
独特の濃い人間ドラマを描いて名匠だったシュレシンジャーが名優たちを贅沢にそろえて映画化した初の本格的サスペンス。マラソン好きの大学生が、ナチの残党たちの陰謀に巻き込まれる。音楽は、一流の劇伴職人、マイケル・スモール。ハードボイルドにサスペンスをじりじりと重ねる冷静なサウンドだが、主人公の内面を表すかのような、不安げに美しいメインテーマは存在する。「ラブシーン」やタイトルバックでそれは明確になるが、控えめな使い方が、またシブい。ウィリアムス『ブラック・サンデー』あたりのサントラ好きにもお薦め。そして、38曲目以降は、『パララックス・ビュー』(1974/監督 アラン・J・パクラ/主演ウォーレン・ビーティ、ウィリアム・ダニエルズ)こちらもしぶい名匠アラン・J・パクラ監督の社会派サスペンスで、要人暗殺を企てる反社会派組織の巧みなシステムに潜入する記者を描く。こちらはさらに感情移入を拒む冷徹ハードボイルド・オーケストラ・サウンド。ジワジワとゆっくりと押し寄せる緊張感。タイトルバックでのセレモニー的トランペットのメロディとサスペンスのリズムの融合がかっこいい。 (C)馬場敏裕
タワーレコード(2010/05/10)