レイディオ・スレイヴによる新たなる挑戦、それがこのザ・マシーンである。アルバムに先駆けた独Innervisionsからのシングル「Fuse」は、リミキサーにAmeとDixonを起用して、いわゆるREKIDSラインとは一線を画したクロスオーバー・ヒットを記録、またまた懐の深さを見せつけたが、アルバムはダンス・ミュージックの固定概念を覆すような壮大なサウンドスケープにより、全てのレイディオ・スレイヴ・ファンを圧倒する。荘厳なチャントや土着的なトライバル・ヴォイスを綿密に交錯させながらアトモスフェリックな音像を描き上げる「Fuse」は、レイディオ・スレイヴ史上最大の名曲と言われる「Grindhouse」をも上回る可能性を秘めた、時代の顔となるべき新たなるキラー・ボム。あらゆる無駄をそぎ落としフロアにおける機能性の徹底を図った「Leopard Skin」、「Koma Koma」にも通じる「Talking Dolls」など、従来のレイディオ・スレイヴ・ファンのココロをくすぐる強力なシュアショットを含みつつ、13分に及ぶビートレス・ファンタジーで新たな物語の幕開けを告げる「Continental Drift」、黒魔術のごときダークかつスピリチュアルなウワモノで奇襲を試みる「Root People」、まるでムーディーマンが憑依したかのような漆黒のビートダウンをマット・テイストで鳴らして見せる「Root People」など、ダンス・ミュージックのポテンシャルを大幅に更新する野心的な楽曲が並ぶ。
P-VINE
発売・販売元 提供資料(2010/04/20)
いまやテクノ界で神格化されつつあるレディオ・スレイヴ=マット・エドワードであるが、もともとマッシュ・アップで名を馳せた彼の最高傑作とされるノラ・ジョーンズ”Sunrise(Radio Slave Remix)”の至高のバレアリックぶり、そしてマーティン・デニーの傑作から名を取ったクワイット・ヴィレッジでのモンド・ラウンジぶりも忘れるべからず。そんなマットの新名義による本作は、”Fuse”におけるチャントとデトロイト・テクノの合体したような壮厳さ、”Continental Drift”でのバレアリックなチルアウト、”Talking Dolls”での緊張感漂うトラバル・ハウス、”Spell Bound”不穏な電子ジャズ、”Root People”の漆黒ビートダウン..... すべて最高。彼の音楽性の幅広さと奥深さに戦慄すら覚える傑作だ。
bounce (C)石田靖博
タワーレコード(vol.323(2010年7月25日発行号)掲載)