モスクワ生まれのピアニスト、ミシャ・ピアチゴルスキの好演が光る、60'sから80'sクラシック・ロックのピアノ・トリオ・カヴァー集。ドラム、エレクトリック・ベース、そしてアコースティック・ピアノに、クラヴィネット、オルガンを使い分けながらトリオとしての表現を広げた変則ピアノ・トリオ作。どの曲でも素材となるクラシック・ロックのメロディ、リフを忠実に表現し決して難解な演奏には陥らない、新しいハーモニーと強いインパクトをもたらしてくれます。しかしながらミシャの力強いタッチと壮絶なフレージングを聴かせるインプロヴィゼーションは期待を裏切りません。従来のアコースティック・トリオというスタイルから、さらに新しい世界を切り開いたミシャの意欲作です。「Purple Haze」「Layla」「Light My Fire」等、誰でも聴いたことのあるメロディや、ビートルズの「Eleanor Rigby」とジミヘンの「Hey Joe」をつなぎ合わせた「Elejoey」、レッド・ツェッペリン「Black Dog」とビートルズ「Helter Skelter」をつなぎ合わせた「Sketchy Black Dog」等メドレー曲も遊び心があり、愛着が沸かずにはいられない1枚。
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凄い可能性を秘めたピアニストであることは、周知の事実であったミシャ・ピアチゴルスキの才覚を、思わぬ形で知る事になった。彼の本気だけど異色プロジェクト、その名もパリストロイカ、デビュー。デヴィッド・ボウイがデヴィッド・ボウイに成る事を宣言したといっていい、《Space Oddity》の解釈からして素晴らしいが、エリナ・リグビーとヘイ・ジョーの掛け合わせ、《Elejoey》は欧米をロシアから見つめる眼差しまで知る事のできる佳曲。往年のロック・スタンダード集である本作は、e.s.t.、バッド・プラスが見据えた00年代の先を観る事ができる。
intoxicate (C)押塚岳大
タワーレコード(vol.85(2010年4月20日発行号)掲載)