2009年は遂にカール・クレイグのレーベル=Planet Eからもシングルをリリース、2009年末には『DJ MAG』や『iDJ』などUKを代表する主要クラブ誌においてベスト・ブレイクスルー・プロデューサーやプレイヤー・オブ・ザ・イヤーなどにフックアップされ、UKの次世代を代表するダンス・ミュージック・クリエイターとして、その将来が確約されているクリストファー・ロペスことグリンプス。そんなグリンプスのアーティスト・アルバムとしては初めての作品となる『ランナー』は、テック/ミニマル・フィーリングのモダンなトラックをベースとしながらも、ソウルフルなデトロイト・サウンドやバック・トゥ90sなオールドスクール・センス、清涼感溢れるアフロカリビアン・フィーリングなど、様々なスタイルが刻み込まれた、「トータルで聴かせる」傑作。多くの引き出しを持つグリンプスの才能が一枚に集約された、まさにキャリアの集大成的な作品で、これは是非とも全てのグリンプス・ファンに手にしてもらいたいところ!
P-VINE
発売・販売元 提供資料(2010/04/20)
登場時は<~% Black>なる非常に匿名性の高いコンセプチュアルなリリースが続いたので、よくある地下テクノなのかなーと思っていたら、通称<鳥>シリーズ(後に『Bird Collection』にコンパイル)や、プラネットEやカデンザなど人気レーベルからのリリースも重ね、順調に大物へと成長してしまった(そして知らんうちにメンバー2人から1人に)グリンプスが初のオリジナル・アルバムをリリース! 冒頭の“Walk Tall”こそトライバル・ミニマルながら、シングル“If I Was Your Girl”はアーバン・ソウルのテクノ漬けみたいだし、中盤は爽やかさすら感じさせる軽快なテック・チューン、後半は端正なデトロイト節という、いわば大人のためのアーバン・テクノ路線。閉塞傾向のあるテクノ界にあってこの方向性は新しい!
bounce (C)石田靖博
タワーレコード(vol.321(2010年5月25日発行号)掲載)