新世代シンガー・ソングライター・ムーヴメントの草分け的存在のルーファス・ウェインライト、3年振り6枚目のスタジオ・アルバムが完成。ルーファス本人がプロデュース(うち3曲はPierre Marchandと共同プロデュース)、ミックスはセカンド・アルバム『Poses』をプロデュースしたMarchandが担当。パーソナルで深くエモーショナルな作品で彼の声とピアノのみで製作された美しい作品に仕上がった。タイトルはシェイクスピアの『Sonnet 43』とルーファス自身による“Lulu”のコンセプトに帰するもので、彼の思う“Lulu”とは、誰の心にも潜む暗くじっと考え込む危険な女性的部分、だそう。“Lulu”とは、1929年のドイツで製作された無声トーキームービー映画『パンドラの箱』の中で、“Lulu”役を演じたLouise Brooksがモデルだという。これまでライヴでも披露してきたシェイクスピアのソネット(十四行詩)を歌ったナンバーは3トラック収録。
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Rolling Stone (p.107) - 3.5 stars out of 5 -- "Just voice and piano, uncluttered by his hallmark orchestral bigness, it's Wainwright's most nakedly emotional music yet."
Entertainment Weekly (p.116) - "Wainwright lays it bare with heartbreaking simplicity here." -- Grade: B
Uncut (p.91) - 3 stars out of 5 -- "'The Dream' begins modestly before building to a crescendo of thumping chords and impetuous glissandos..."
Billboard (p.59) - "[A] single piano is all that's needed to show off his immense vocal talent."
Paste (magazine) (p.85) - "When he sticks to classic balladry and construction as on 'True Loves' and 'Les Feux D'Artifice T'Apellant' Wainwright really shines."
Clash (Magazine) - "Wainwright offers a sparse but staggeringly heartfelt collection of songs for voice and piano..."
Rovi
何たる生々しさ、何たる迫力。華麗なる異端児の6枚目は、ロバート・ウィルソンの舞台のために書いた曲などを集めた作品だが、ピアノを前に彼がひとりぼっちで弾き語る作りとなった。母・ケイト・マクギャリグルの死、妹・マーサ・ウェインライトの出産という私生活で発生した出来事が大きく反映しているようだが、映画『パンドラの箱』でルイーズ・ブルックスが演じた踊り子・ルルにみずからをダブらせたという今回の演技はすさまじく鮮烈で官能的。彼の作品中でもっとも崇高な美術品として完成している。
intoxicate (C)桑原シロー
タワーレコード(vol.86(2010年6月20日発行号)掲載)
今年1月に母親を亡くしたばかりのルーファス・ウェインライトが、その母親に対する畏敬の念と妹マーサの出産にインスパイアされて作り上げた新作。<家族の生と死>というドラマティックなテーマを、彼はピアノの弾き語りという簡潔なスタイルで綴っていく。これまでゴージャスなアレンジが多かっただけに、裸の歌からはルーファスの魂の震えが伝わってくるようだ。シンプルで濃密なアルバム。
bounce (C)村尾泰郎
タワーレコード(vol.321(2010年5月25日発行号)掲載)