ベックがプロデュース、作曲、ギター、シンセ、そしてヴォーカル参加!ファンクして、ロックして、ポップするエクレクティック・ソウル!現代のショウマン、ジェイミー・リデルのハイブリッドな唄声が変幻自在に弾け飛ぶ。極上のエンターテインメントを常に追い求めるジェイミー・リデルがより煌びやかになって帰ってきた。ずば抜けた歌唱力に先鋭的なプロダクションとエキセントリックなエレクトロニック・サウンドが加わり、豪華なコラボレーター達を従えたジェイミーのファンキー度は、2010年も全開!
BEAT RECORDS
発売・販売元 提供資料(2010/05/07)
「Multiply」「Jim」とモッキー人脈を活かしたアルバムで成功を手中に収めたジェイミー・リデル。このニュー・アルバムは、プロデュース・作曲・演奏など全面的なサポートでジェイミーを支えたベックを筆頭に、ベックのカヴァー・プロジェクト<Record Club>に参加したファイストのほか実力派ミュージシャンたちと繰り広げたジャム・セッションを基にしている作品だ。その影響はエモーショナルでソウルフルな彼らしさは残しながらも前作の陽気でゴージャスな雰囲気は影を潜め、先行シングル"The Ring"においてブルージーなテイストやロック/ポップの要素を吸収したことが、曲のヴァリエーションの広がりに表れている。バンドの堂に入った演奏が生む安定感に加え、もともと彼が得意とするユニークなエレクトロニクスもスパイスになっており、バランス感覚も実に良い塩梅なのだ。これには先述のベックに加え、スタジオで最後の仕上げをジェイミーと共に手掛けたグリズリー・ベアのクリス・テイラーとファイストの貢献も大きく、ドリーミーでメロディアスなタイトル曲"Compass"やゴスペルの如き神聖なオーラを放つ"You See My Light"のような新しいタイプの曲も生み出している。もちろんこれに合わせて本人も朗々と歌ってみたり、官能的だったりと、いつになく感情的で表現力を増した印象だ。そんなさまざまな変化のなかにあって、その相変わらず伸びやかな歌いっぷりは、聴いていて実に清々しい。
bounce (C)青木正之
タワーレコード(vol.321(2010年5月25日発行号)掲載)
ソロ名義の2作目で、エレクトロニカからブルーアイド・ソウルへと大胆に路線変更したのは5年前のこと。サード・アルバム「Jim」(2008年)では2作目に残っていた電子音を一切排除して生音に徹し、歌にフォーカスしてこれまででもっとも聴きやすい作品に仕上げていたものだ。が、それも束の間、この新作ではヴォーカル・スタイルはそのままに、ふたたびオーガニックとエレクトロニックを織り交ぜてサウンド・メイキングの実験に没入。過去2作で彼をバックアップしたゴンザレス&モッキーに替わって、ここ数年のツアーや客演を通じて出会ったミュージシャンたち-ベックを筆頭にグリズリー・ベアやウィルコのメンバーを含む-を総動員し、曲ごとにキャスティングを変えながら音を作り込んで、限りなくオーセンティックで限りなくフューチャリスティックなソウル&ファンクを鳴らしている。つまりベック「Midnight Vultures」の跡を継ぐものであり、アイザック・ヘイズ、バリー・ホワイトからプリンス、アウトキャストのアンドレ3000まで、サウンドメイカーとしても革新的な試みを重ねてきたソウルマンの系譜に、ジェイミーを改めてクリアに位置付けるアルバムと言えるんじゃないだろうか? また言葉の表現にもパーソナルな趣が強まり、真理の追究、あるいは祈りのような詞における<ソウル>もますます濃い。特にクライマックスには思いも寄らぬサイケな展開が待ち受けており、カタルシスは深く沁みる。
bounce (C)新谷洋子
タワーレコード(vol.321(2010年5月25日発行号)掲載)