2008年最も目覚しい活躍を見せた米バンド、MGMTの驚異的注目のセカンド・アルバムは、とっても刺激的で革命的!本作は2009年を通して、NY北部の郊外や、西海岸のマリブ、そしてバンドの拠点であるブルックリンで、ツアー・バンド・メンバーの3人を伴って制作が進められた。収録曲は全てMGMTの書き下ろしで、基本的にはセルフ・プロデュースだが、共同プロデューサーとしてソニック・ブームが参加、またゲスト・ヴォーカルにロイヤル・トラックスのジェニファー・ヘレマが参加している。初回生産限定盤は、4パネル・ソフトパック+スクラッチ・オフ・フロントカヴ+オリジナル・メタル・コイン+32Pブックレット付きの豪華仕様。
Sony Music
発売・販売元 提供資料
Rolling Stone (pp.63-64) - 3 stars out of 5 -- "[The album] testifies to MGMT's restlessness as songwriters and human beings....The set closes with the title track, a spangled folk rocker about the weight of success..."
Entertainment Weekly (p.70) - "[T]his odd little sonic onion ultimately rewards those patient enough to peel the layers." -- Grade: B
Uncut (p.87) - 4 stars out of 5 -- "This is a willful and lovably eccentric second album from a band who've decided they'd had a sniff of being pop stars and decided they'd much rather be weird and esoteric, thanks all the same."
Billboard (p.32) - "[The] album blends psychedelia with elements of post-punk, surf rock and even folk. The track 'Someone's Missing' begins sparsely with soft guitars and sitar-like effects that echo the falsetto vocals before swelling into an easygoing funk jam."
Mojo (Publisher) (p.96) - 5 stars out of 5 -- "[The album] explodes with the colour of British psychedelia and bulges at the seams with irresistible melodies....A weird, wonderful, complete work..."
Mojo (Publisher) (p.57) - Ranked #3 in Mojo's "The 50 Best Albums Of 2010" -- "CONGRATULATIONS was elegant, tuneful and mind-blowing..."
Paste (magazine) (p.89) - "[I]n between enlightened ramblings, the band interjects a refrain that bursts forth brighter than a July sun and cues up psychedelic moments that wash ashore like the calmest of waves."
Rovi
MGMT攻めてるよ!安易に前作を踏襲しない心意気は相当の決意かと。当然そこには理由があるようだ。前作『Oracular Spectacular』の狂騒は本人たちの許容を遥かに上回り、メジャー・デビューから2年経ったいまもその余韻が残るほどで。結局ポップ・シーンだけで騒ぎの収拾がつかず、ヒップホップ系ミックスCDの常連になるわ、“Kids”がイビザをはじめとするダンスフロアでアンセム化するわと本人たちをよそに大爆発。“Time To Pretend”でロックスターを揶揄していたのに、皮肉にも自分たちがスターになってしまう始末だ。その反動が、反抗とアイロニーが込められた新作『Congratulations』というわけで、自虐的なアルバム・タイトルに始まり、<シングル・ヒットは御免>とばかりにアルバム一枚を聴かせるべく腐心している。だから“Kids”級のアンセムはないのだけれど、爽快なサーフ・ナンバー“It's Working”、ブライアン・イーノに捧げた(?)パンキッシュな“Brian Eno”などMGMTらしからぬ曲があったり、後半に盛り上がるドリーミーなサイケ・ポップ“Someone's Missing”やラストをしっとりと美しいメロディーで締め括るタイトル・ナンバーのような聴くたびに味わいが増すものなど、曲のヴァリエーションが豊富で楽しい仕掛けが満載だ。そのあたりは共同プロデューサー、ソニック・ブームの貢献もあるのだろう--何てことを考えつつ何度も聴いていると、やっぱりシングル・ヒットが生まれそうな気が。彼らには気の毒だけど……。
bounce (C)青木正之
タワーレコード(vol.320(2010年4月25日発行号)掲載)
賛否両論に分かれる問題作! というのは大袈裟かもしれないけれど、MGMTの2人が新作『Congratulations』で勝負に出たことは間違いない。本人たちにも予想外の成功を収めたデビュー・アルバム『Oracular Spectacular』の後追いはせず、彼らはより作家性を際立たせる方向へとシフトした。まず本作の共同プロデューサーとして元スペースメン3のソニック・ブーム、ゲストには元ロイヤル・トラックスのジェニファー・ヘレマと、2人が以前からリスペクトしていた面々を起用。とりわけシューゲイザー・サウンドをエクスペリメンタルな領域に広げたソニックの起用は興味深い。さらに前作のプロデューサー、デイヴ・フリッドマンはミキサーとして引き続き参加するなど、サウンド面は相変わらず凝りまくっている。ただ前作のようにダンサブルなグルーヴは抑えめで、今回はサーフ・ミュージックから混沌としたサイケデリック・ジャムまで、ロックンロールがベースだ。短い曲が浮かんでは消える長尺のナンバー“Siberian Breaks”や、後半の急展開が過激な“Flash Delirium”など、曲作りは<踊らせること>より<聴かせること>にポイントが置かれていて、前作以上に曲の良さが光っている。こだわるところはこだわりつつも、ざっくりとした生々しい手触りも残す、そうしたバランス感覚が絶妙だ。浮遊感に満ちていながらも、しっかり地に足が着いているというか、プレッシャーという大波を巧みに乗りこなしてみせた痛快な傑作!
bounce (C)村尾泰郎
タワーレコード(vol.320(2010年4月25日発行号)掲載)