毎回独創的なミックスで世界中のクラブミュージック・リスナーを唸らせるEQ RECORDINGSの名物ミックス・シリーズ「BALANCE」の2010年1作目は、TIGAやVITALICなどを擁する名門・DIFFERANTからこれまでに3枚のアルバムをリリースする傍ら、自らのレーベル・IN FINEを運営し、FRANCESCO TRISTANO、DANTON EEPROMといった才能を世に送り出してきたフレンチ・テクノシーンの重要人物、AGORIA!AGORIAが掲げた今作のコンセプトはシリーズのタイトル通り"バランス"。自分の心の中のバランス(決してそれは一定のものではなく、揺れ動くもの)を均衡に保っている細い線を見つけるというアイディアに基づいている。DISC 1では「ALLER RETOUR = TO GO RETURN」と題し、MARK PRITCHARD(GLOBAL COMMUNICATION)によるポスト・クラシカルな楽曲やTOSCAなどのダウンテンポを大胆に取り入れ、徐々にピッチを上げていくドラマチックかつエモーショナルな今までにない野心的ミックスを披露!「RISING SINE」と題されたDISC 2においては、同一トラックをパーツとして繰り返し使用し時間軸を狂わす、RICHIE HAWTINやJORIS VOORNが見せた方法論にもチャレンジ。中でも、AVRILによるLIL'LOUIS“French Kiss”のエレクトロ・カバーを使いハメていくM-13~M-16までの展開は、まさにその方法論が集約された最大の聴き所!さりげなく終盤に収められた3 CHAIRS“No Drum Machine Part 2”も心憎い。2000年代の新たなディケードにおけるベンチマークとなるべき、示唆に富んだ芳醇なミックス作品!
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DJの間ではトップクラスの人気ながら、なぜかイマイチ一般的に名前が浸透していないアゴリア。テクノ/ハウスの両サイドから絶大な支持を受けている彼が、ヨリス・ヴォーン盤のヒットで知られる人気シリーズに登場だ。アーティスト名だけを見ると取っ散らかった印象を受けるものの、そこは流石の手腕!文句の付けようがないミックス・テクで素晴らしい流れを作っている。本当にコレは良いです!!
bounce (C)石井隆弘
タワーレコード(vol.319(2010年3月25日発行号)掲載)