あまりに幻想的な内容と、実演上の要求も多いことから上演機会が少なく、リヒャルト・シュトラウス幻のオペラとも言われる《影のない女》。本映像は、1992年のバイエルン国立歌劇場来日公演にして、愛知県芸術劇場の杮落としともなった舞台を、NHK初期ハイビジョン収録による高画質映像で収録。 (C)RS
JMD(2012/08/16)
猿之助の技により東西の芸術が見事に融合した、圧倒的な舞台
1992年バイエルン国立歌劇場来日公演時に、愛知県芸術劇場の柿落としとして上演された《影のない女》の貴重な映像がついに国内盤DVDとして登場。歌舞伎の手法を取り入れた猿之助の技により、シュトラウスの幻想的な世界が実現した伝説の舞台です。オーケストラの気迫あふれる音楽からは、この作品にかけるサヴァリッシュの並々ならぬ情熱が伝わってきます。シュトラウス研究の旗手、広瀬大介氏が手がける日本語字幕・解説を付しての待望の国内盤化となります。(ブックレットには、W.サヴァリッシュ、市川猿之助、中藤泰雄ジャパン・アーツ会長による巻頭文付)
《ばらの騎士》で20世紀版の《フィガロの結婚》を作り上げたR.シュトラウスとホフマンスタールが、2組の夫婦が試練を乗り越えて真の愛で結ばれるという《魔笛》の世界を蘇らせようと書き上げた作品が《影のない女》でした。霊界の王カイコバートの娘は、カモシカに変身したところを人間である皇帝に捕らえられ結婚しますが、霊界の女である皇后には影がなく、子供を宿すことが出来ません。結婚してからあと3日で1年が経つという日、皇后は3日のうちに影を得なければ、皇帝が石になってしまうことを知り、染物師バラクの妻から影を買い取ろうとしますが、次第に罪の意識に苦悶するようになります。
あまりに幻想的な内容と、実演上の要求も多いことから上演機会が少なく、R.シュトラウス幻のオペラとも呼ばれるこの作品ですが、本プロダクションでは、猿之助が歌舞伎の手法を駆使して、見事にこれを舞台化しています。
また、この来日公演の後にバイエルン歌劇場の総監督を退くことになっていたサヴァリッシュが、最後の華のある仕事として、公演演目の一つに選んだ作品というだけあって、その並々ならぬ情熱が舞台にほとばしる名演を聴かせます。
コロムビアミュージックエンタテインメント
発売・販売元 提供資料
1992年秋のことを思い起こすと、筆舌に尽くしがたい美しい記憶が蘇ってきます。あの時、名古屋では、新しく建てられたオペラ・ハウスの落成がR.シュトラウスの傑作《影のない女》によって祝われ、そして同時にコンサート・ホールの柿落としも行われたのでした。この二つの出来事は、日本とドイツの文化的な結びつきを強めたばかりではなく、私たちの共通性をも明らかにしてくれるものでした。それから19年の歳月が過ぎ、当時収録された映像は、あの素晴らしい時間を再びまざまざと、その美しい姿のまま味わう機会を与えてくれました。(中略)この芸術作品が実り豊かに、そして広く世に伝わることを願っています。 [ヴォルフガング・サヴァリッシュ](ブックレットより抜粋)
コロムビアミュージックエンタテインメント
発売・販売元 提供資料